「ハイスクールマンザイ2024」で高校生漫才のチャンピオンに輝いた19秒芝生舐め。
美術を学ぶ高校の同級生でコンビを組み、M-1の1回戦進出の経験もあるふたりが、高3で出場したハイスクールマンザイで見事優勝。チャンピオンに勝ち残るために仕掛けた数々の作戦を、渡邉楽さんと高橋洸さんに明かしていただきました!
中学の頃からの憧れ
まずはハイスクールマンザイへの思いから聞かせてください。
渡邉 僕はお笑いが好きだったので、小学生の頃は、中学に入ったら文化祭で漫才するんだと思っていて、中学生の頃は、高校に入ったらハイスクールマンザイに出るんだと思っていました。ハイスクールマンザイは本当に憧れで、中学の頃からずっと出たいと思ってきたのですが、高校生の相方がいなくて。
高橋 僕は楽から誘われてコンビを組んでから知って、高校生のお笑い大会くらいに軽く思っていたら、調べたらすごい規模なことがわかって、これはすごい大会だぞって気合いが入りました2年生の時は僕が初めてだったのと、交通費の問題があってM-1ひとつに絞って、高3で両方に出場したんです。
ハイスクールマンザイにエントリーした時はいかがでしたか?
渡邉 1回戦が動画審査なこともあって、すごく踏み切りやすいと思いました。僕たちは学校で先生にカメラとか貸してもらって撮りました。
高橋 その動画審査も3回送るチャンスがあって、大きな大会なのに誰でも入りやすいというのがすごく印象的でした。お笑いに少し興味があるくらいの子でも、動画ならお客さんの前でやらなくていいので、この1回戦のシステムがもっと広がれば、お笑いに触れる人の人口が増えそうだなと思います。
準決勝・決勝戦で考えた仕掛け
イオンモールでの準決勝に向けて、どんな準備をされましたか?
渡邉 他の予選が先にあったので、オープンキャンパスで関西方面に行くついでに会場を下見に行きました。マイクが遠すぎて声が届かずウケないケース、逆にマイクの近くで大きい声を出しすぎてお客さんがびっくりしてウケないケースを見て、マイクを通した声の通り具合を考えました。準決勝の当日は、マイクの周りで「あ〜」と言いながら動いてみて、どの辺りが音を拾いやすいかとか、どれくらいの音量を出せば一番後ろの席まで聞こえるかなどをチェックしました。
そんなチェックをしていたんですか!?
高橋 本番前に出演者で時間を分け合ってステージを使っていい時間があったんです。通しで漫才してみるという人たちが多かったんですが、練習は放課後の教室や夏休みを使って事前にたくさんしてきたので、僕たち…特に楽がなんですが、そのリハーサルの時間で、マイクの音響を研究していました。
すごい…。そんな話、初めて聞きました。
渡邉 出場者の身内や本番を待っているお客さんもいたので、そこでネタを通しでやってしまうとネタバレになって、ひとりでもふたりでも笑い声が少なくなれば不利だというのもあって、ネタのボケに関係しないところだけやったりしていました。決勝の時も、この客席ならマイクの高さはどれくらいだったら声を拾ってかつ顔が見えるかとか、マイクから離れた時にどの辺だったら見やすいかといったことを、客席に回って確認したりしました。
他にも何か作戦はありましたか?
渡邉 僕らは“こいつら一番強そうやなと思わせよう”という作戦があって(笑)。受験の時も、僕は“僕が一番賢そうに見えるように行動を取る”ようにしていたんですけど、ハイスクールマンザイの準決勝でも、みんなはスーツを着て会場に来ている中、僕らはプロの方々のように私服で行って衣装は持って行って、出番ギリギリで着替えたりしていました。
その上で、今年出場する高校生に、準決勝を勝ち切るコツを教えてください!
渡邉 準決勝を勝ち切るコツは、マジで“大きい声を出す”だと思います。聞こえないとウケないので。
高橋 ビビらないことですね。僕は普段からあまり緊張したりしないんですが、ハイスクールマンザイの時は楽しむことばかり考えていました。受験への考え方も同じで、失敗しても死ぬわけじゃないし、どの大学に行っても楽しいだろうと思って気軽に臨んで、いつも通りの力が出るようにしてきたので。
失敗したらどうしようとかはあまり考えない?
高橋 考えないですね。そう考えている時間が無駄じゃないかなと思ってるところがあります。
渡邉 洸とは面白いと思う部分とか似ているところが多いなと思って組んだんですが、違う部分もめちゃくちゃ多くて。僕はいろいろ分析してネタも考えるけど、本番になると“うわぁ〜”って感じになるんです。でもこいつは本番も冷静な感じで。
お互いの持っていないところを補い合っているんですね。最後に、今年ハイスクールマンザイに出場する高校生へアドバイスをお願いします!
渡邉 少しでも興味があったり、出たい気持ちがあるなら、4月のタイミングから応募したほうがいいです! どうせ落ちるなら早めに落ちれば、5月・6月にも応募のチャンスがあって、次を考えることができます。だから早めに相方を探してネタを作って、いろんな人に見せることが大切だと思います。あとは静か系なネタの人も、準決勝は声を出すネタを用意しておいた方が通りやすいと思います。
おふたりは完全に作戦勝ちですね。
渡邉 そうですね。面白さと笑いの起こる量は違うから、僕らはその笑いの起こる量をなるべく増やすための仕掛けをたくさん考えて勝ったところがあると思います。
高橋 楽がすごく分析的なので、僕からはマインドの部分で何かアドバイスができればと思います。プロの芸人さんなら何かプライベートなことで不機嫌になったりストレスがあっても、人を笑わせられるかもしれないですが、高校生は、きっとごまかしたりできないと思うんです。だから準決勝ならイオンモール、決勝戦ならTTホールの700人の客席の空気を自分のものになんとか変えて、楽しむぞ、笑わせるぞというプラスの意識を持ってほしいなと思います。漫才する側が笑っていないと絶対に誰も笑わないと思うので、なるべく明るく、気軽に挑戦してほしいなと思います。