『我々は宇宙人』 門脇康平監督|「高校生の頃に、アニメ監督という仕事が天職なんじゃないかと思った」

我々は宇宙人

第79回カンヌ国際映画祭 監督週間に正式出品されて世界が大注目! 坂東龍汰さん・岡山天音さんがダブル主演を務める、長編アニメーション映画『我々は宇宙人』を生み出した29歳の門脇康平監督ってどんな人!? というわけで、監督インタビューに行って来ました!

楽しかった小学時代の
思い出を作品に閉じ込めた

翼と暁太郎の30年にわたる友情を描いたお話ですが、予測がつかない展開で圧倒されました。カンヌ映画祭でのお客さんの反応は日本と何か違いはありましたか?

門脇 それが違わなかったことに驚いたんですよね。日本の方と同じようなところに着目して感動してくださっていて、意外と言葉は関係ないのかもしれないなと思いました。

高校時代の監督がご覧になったら、どんな感想をおっしゃいそうですか?

門脇 大人になってからの翼と暁太郎の話をどう観るかは想像ができないですが、当時から、小学生時代ってすごく楽しかった思い出があって、“小学生の頃の初恋だったりさまざまな瞬間を作品の中に閉じ込めたい”と思っていたので、小学生時代の話は自分が観たいと思っていたものをみせてくれていると思うだろうなと。

門脇康平

翼の物語と暁太郎の物語、監督の経験はどちらに近いですか?

門脇 半々なんです。どちらの立場も経験したので、自分の経験をストーリーにするために主人公が二人になったという感じで。

作画のために、実際に子どもたちに動いてもらったとお聞きしました。それはアニメ制作ではよくあるんですか?

門脇 実際に人の動きを参考にしたりするのですが手間とお金がかかるのですべてのアニメでやっているわけではないんです。今作では、観た人みんなに昔の友だちをみているような感覚になってもらいたいと思ったので、実際に子どもたちに「踊りながら下校してみて」とか「相手のことを帰さないように、ランドセルを持って引き止めてみて」などお願いして、動きを観察しました。

そこでアングルも考えるんですか?

門脇 自分の場合は、アングルは絵コンテで厳密に決めてから(プレビズの)撮影を行ないました。

描写が引きだったり寄りだったり、俯瞰だったり裏側から見たり、場面ごとに本当に視点がさまざまでしたが、それはどう決めるんですか?

門脇 例えば暁太郎のもとから翼が歩いてどんどん遠くに行っちゃうシーンでは、望遠レンズを選ぶとパースが圧縮されるから、歩いても歩いても翼は小さくならないけど、広角レンズにするとどんどん小さくなっていくから、それが暁太郎の心情にも重なるなとか、それを暁太郎の目の高さにしなくちゃいけないから、カメラの高さは120センチでセンターに置いて、みたいなことが決まっていくんです。

すごい緻密なんですね。やっと完成した『我々は宇宙人』は、監督にとってはどんな存在ですか?

門脇 自分にとっては、ひとつの過去への執着の卒業式みたいな感覚です。僕は「過去に戻りたいか?」と言われたら、間違いなく過去に戻りたいタイプで、いつでも“昔のほうがよかったな”と思ってきました。この作品でも、懐かしいという感情に浸る心地よさと危うさみたいなものを描いていますが、5年もかけたら自分の中で区切りがつくのかなと思って向き合ってきたので、本当に「卒業式」という言葉が近いかなと思います。

高校生の頃にアニメ監督は
自分の天職だろうと思った

東京藝術大学を卒業されてアニメ制作会社勤めも経験されていますが、作ることのモチベーションはどう保っていましたか?

門脇 いくつかあるんですが、高校生の頃に、アニメ監督について本で読んで自分は画家を目指すよりアニメ監督という仕事が天職なんじゃないかと思ったんです。でもそれはちゃんと自分でオリジナルを作るまでは証明できないから、その満たされない気持ちがモチベーションになってきたと思います。

どうして天職だと思えたんですか!?

門脇 アニメ監督って、プロデューサーやアニメーター、スケジュールなどの間にたちながら、現実的に作れる金額の中でクリエイティブを発揮する必要があって、みんなのリーダーになっていかなくちゃいけない仕事です。その点、自分は学級委員とかに手を挙げるタイプで、旅行でもいつも企画からスケジュールまで考えるタイプだったので向いているんじゃないかと思いました。それにアニメ監督って周りの人を自分や作品に巻き込む人種だと思っています。例えば、高校生の頃から陸上部を辞めた友だちを美術部に引き込んで、そのまま一緒に藝大受験までして、大学に通ったり(笑)。今作でも中学時代からの友だちに撮影監督として参加してもらったり、大学生の頃に美術予備校の先生をしていた時の生徒もアニメーターに引き込んだりしました。そこは絶対にいい作品にして、「巻き込まれてよかった」と言ってもらえると信じて巻き込んでいます。

最後に、ものづくりの道を目指す高校生に何かメッセージをお願いします!

門脇 クリエイティブに携わる仕事って、ネットで調べるよりもはるかに業種が多いんです。例特に長編映画になると、一般の方には知られていないようなプロフェッショナルの職種が本当にたくさんあります。さまざまな分野でものづくりに携わる方法があるからこそ、過去の経歴や経験は必ずしも絶対ではないと思います。自分はお願いする人をSNSで探すことも多いので、自分のやっていることをネットで発信したり、やりたいことを周りに言い続けておくことが大事かなと思います。

今月の特集
「高校の文化祭の思い出は?」

門脇 美術部の活動で「100円似顔絵」というコーナーをやって、別の高校から来た人とこの似顔絵がきっかけで友だちになったり、とてもいい経験になりました。クラスの出し物にはほとんど出られなかったのですが、スイーツ屋さんの黒板アートを描きました。あとは文化祭って学校全体で美術を作ったりしますよね。高1、高2の時は、100人くらいで中庭全体をアートにする取り組みのリーダーをやっていました。体育祭Tシャツの絵も中高6年間、描きましたね。

『我々は宇宙人』
  • 企画・脚本・監督:門脇康平
  • 声の出演:坂東龍汰 岡山天音 山﨑天(櫻坂46)松井ケムリほか
  • 音楽:Yaffle
  • 主題歌:adieu 「ささくれ」 作詞・作曲:Yaffle (Sony Music Labels)
  • 配給:TOHO NEXT・NOTHING NEW

©NOTHING NEW, MIYU PRODUCTIONS

9/25(金)全国劇場公開