映画『ギャングース』トリプル主演の渡辺大知が語る「これは意外に青春映画」

映画『ギャングース』で、犯罪者集団だけを標的にした窃盗稼業“タタキ”だけが生きる術の少年・タケオを演じている渡辺大知さん。トリプル主演という形で共演した高杉真宙さんと加藤諒さんとのエピソードや、激しいアクションに初めて挑戦した撮影に関することなど、気になる映画の裏話をお聞きしました! 緊張感みなぎる映画とは対照的に、渡辺さんの優しい笑顔が印象的な和やかで楽しい取材となりました。

キメキメのお芝居より
自然な感じでやりたい

今作は青春期を少年院で過ごした少年、’15年の『くちびるに歌を』では自閉症の役と、いろいろな役を演じている渡辺さんが芝居をする上で気にかけているのはどんなことですか?

渡辺 映画の世界の中で“普通でいる”ということですね。自閉症の役の時も、自閉症が特別なものだと思って演じていたわけではないんです。わざとらしいことはあまりしたくなくて。キメキメのお芝居よりも自然な感じでやりたいと思っています。あとは主人公たちを好きになってもらいたいなと。僕が演じたタケオは口数が少ないけど、こいつがいたらサイケ(高杉真宙)とカズキ(加藤諒)の喧嘩が収まる人というような、安心させる空気感が出せたらいいなと思いました。

これはちょっと苦労したというような撮影秘話があれば教えてください。

渡辺 車を運転するシーンです。“このライン丁度で車を止めてください”という指示があって。そういうことをしたことがなかったので最初は苦労しました。でも、だんだん楽しくなってきて、逆にもっと厳しいことを言ってほしい、課題を与えてくれ! と思うようになってきて、後半はいっぱい運転させてもらいました。

どの俳優さんもとても迫力があると感じました。渡辺さんが一番圧倒された方はどなたですか?

渡辺 金子ノブアキさんです。詐欺グループを統括している役で、前半に出てくる演説シーンにはとても圧倒されました。金子さんは音楽をされている方なので、やっぱりリズム感がいいんです。すごく長いセリフなのに言葉がどんどん頭に入ってきて、内容がちゃんと理解できるんです。そういう風にセリフを喋るというのは大変なことなので、すごい方だなと思いました。

主人公3人がキラキラして見えるシーンも
これは意外に青春映画

劇中では迫力あるアクションシーンがたくさんありましたが、特に印象に残っているシーンは?

渡辺 バスの中でのアクションシーンですね。花火を打ち込まれた時も、狭くて身動きが取りづらいんですけど、だからこそ広い所でやるアクションシーンよりも本当の喧嘩をしているみたいになって、本気で摑み合いをしました。あのシーンのあと何人かが風邪ひいてしまって。相当体力を消耗しちゃったんでしょうね(笑)

その他にもかなり過激なシーンもありました。こういうアクションシーンを演じられたのは初めてですか?

渡辺 そうですね。振りのあるアクションシーンは初めてでした。今まで割と文化系の役が多くて、脳内で不良たちを倒しまくるすごい強い奴みたいな感じだったんです(笑)

そんなハードな撮影中に、“怖い”と感じたことはありましたか?

渡辺 もし顔面をバーンと殴って、MIYAVIさん(※劇中に出てくる半グレカンパニー“六龍天”のトップを演じる)とかの顔がボッコボコになったらどないしよー、本当に殺されるんじゃないかなって思って、それが怖かったですね(笑)。もちろんそんなことはなかったんですけどね。

渡辺さんが一番好きなシーンや印象に残っているシーンは?

渡辺 3人でタタキ(強盗)をして、だいぶお金が貯まってきた頃に、サイケとカズキと一緒に写真を撮っていたら雨が降ってきて、バスの中に駆け込んで踊るシーンが好きですね。映画が完成して、初めて観た時に思わず泣いてしまいました。一見良くないことをしているんだけど、主人公3人がキラキラして見えて、意外にこの映画は青春映画なんだなと思いました。

加藤諒と高杉真宙がコーラスで参加する
主題歌『CRYBABY』を作詞作曲

渡辺さんが作詞作曲されている主題歌『CRYBABY』はカッコいいですね!

渡辺 『ギャングース』という映画に寄り添いすぎず、あの世界観にマッチしたらいいなと思って作りました。この曲は加藤くんと高杉くんにもコーラスで参加していただいています。

レコーディングはどんな雰囲気でしたか?

渡辺 加藤くんはミュージカルもされているし、歌も好きな方ですごくエンターテイナーだなと。高杉くんは「歌は苦手なんですよ」と言っていましたが、お芝居を長くされているので、レコーディングではさすがのパフォーマンスでした。ふたりとも楽しそうだったので、すごく光栄に思っています。「そんなんやらねえよ」とか、「僕は役者なんで歌は歌いません」とか言われたらどうしようと思ってたんですけど(笑)

最後に、読者の高校生に向けて、この映画のこういう点に注目してほしいということがあれば教えてください。

渡辺 エンターテインメント性があって、楽しい作品ではあるんですけど、この映画は実在する人物がモデルになっていて、登場人物のような人たちは本当にいるんだということを知ってもらいたいです。日本中どこにでも、詐欺グループや悪い人たちはいて、その詐欺グループを専門に強盗している少年たちは本当にいる。そういう事実をみんなに知ってもらいたいし、ちょっと怖いシーンもあるけど、若い人たちにこそ観てもらいたい映画だと思います。

ギャングース
  • 原作:肥谷圭介・鈴木大介「ギャングース」(講談社「モーニング」KC所載)
  • 脚本:入江悠、和田清人
  • 監督:入江悠
  • 出演:高杉真宙、加藤諒、渡辺大知(黒猫チェルシー)、他
  • 配給:キノフィルムズ
  • 映倫区分:R15+

©2018「ギャングース」FILM PARTNERS 
© 肥谷圭介・鈴木大介/講談社

全国公開中

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