映画『おいしい家族』ふくだももこ監督・松本穂香│「自分を大切にすれば人にも優しくなれる」

常識に縛られず、 “好きなものは好き” と言える世界を肯定する映画『おいしい家族』。個性豊かな登場人物たちが食卓を囲み、ユニークな物語が展開していく本作を撮ったふくだももこ監督と主人公・橙花を演じる松本穂香さんに話をお聞きしました。

ポジティヴな感情を生む家族の話を映画にユーモアあふれる中に考えさせられたり、感動させられたりするシーンがあって、とても心に響きました。

ふくだ  うれしい! ありがとう。

『おいしい家族』というタイトルをつけた理由は何ですか?

ふくだ 家族の話やし、おいしいものがたくさん出てくるから! ポジティヴな感情の “おいしい” というのは映画の内容がストレートにわかると思って、タイトルに入れました。

撮影現場の雰囲気はどんな感じでしたか?

ふくだ みんな仲良かったな~。
松本 そうですね、和やかで明るい雰囲気でした。

印象に残っている出来事はありますか?

ふくだ 板尾 (創路) さん (*橙花の父・青治役) がロケ地に来てすぐに、チャリで島中を巡っていたらしくて、島の人の話題になっていたね。島の人から聞いてうちらも「板尾さんが来たんや」って、知るという (笑)

松本 映画とは直接関係ないですが、監督のお母さまはどこにでも出没します(笑)。「沖縄国際映画祭」にも来ていたし、(ロケ地の) 新島のスーパーにも来ていましたね。

ふくだ そうそう、親呼びたいんよね! 親孝行の一環というか、誘うと海外でも来てくれるし、スイスにも一緒に行ってめっちゃ楽しかった!

自分を大切にすれば
人にもやさしくなれる

映画監督になろうと思ったのはいつ頃ですか?

ふくだ 中2ぐらいの時に漠然と思ってたかな。映画が好きでよく観に行っていて。ある時、ここに映っていないだけで、これを作ってる人たちがたくさんいるんやろうと思って。スクリーンの中に入りたい、この世界を作る監督になりたいって思った。

一度、映画を辞めようと思われたことがあるそうですが、それはなぜですか?

ふくだ 自分の映画を撮るためにはいろんな人を巻き込まなあかんし、お金もかかるし、どうしたらいいんやろう? と悩んだ末、辞めようかなと。大阪に帰ってきてから小説を書くようになったんやけど、やっぱり映画は諦められなくて。また東京に戻ってきて、そこから映画も小説もいい具合にまわり始めて。なので今は、両方ともやっています。

監督はどんな高校生でしたか?

ふくだ 好きなことをやりまくってた! その頃から映画監督になろう! と決めていたから、彼氏に振られたのをきっかけに、“お前が目に入らへんところに行ったるわ!” と、東京に行くことにした(笑)

松本さんはなぜ女優さんになろうと思ったのですか?

松本 高校時代の演劇部の経験は大きいです。それと、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」にすごいハマって、“私も「あまちゃん」の住人になりたい!” と思ったんです。その世界に行くにはこの仕事 (女優) しかない! と思ったのがきっかけのひとつですね。

では最後に、おふたりから高校生にメッセージをお願いします!

ふくだ この映画はほんまに高校生に観てほしい! 高校生の頃は周りが気になって、自分のことが好きになれない時期があると思う。そんなしんどい思いをしている人の心をちょっとでも軽くしたい! 誰かを傷つけたらあかんけど、それ以外やったら何をしてもいいと思う。そうすれば自分のことを大切にできるし、いろんな人に優しくできるようになるということをこの映画で感じてもらいたいなぁ。

松本 興味があると思ったことはとりあえずやってみること。挑戦するなんて大それたことじゃなくて、ちょっと手を出すくらいのことでいいから。好きなことだったら続くと思います。

ふくだ それを見つけるためにも何でもやってみた方がいいよね。

『おいしい家族』

  • 監督・脚本:ふくだももこ
  • 出演:松本穂香、板尾創路、浜野謙太、
    笠松将、モトーラ世理奈、三河悠冴、
    桝俊太郎、他
  • 配給:日活

©2019「おいしい家族」製作委員会

9.20(金)より全国公開