「大人になっても発見だらけ」「人生楽しいっす」THE KEBABSの高校時代とは?

a flood of circleの佐々木亮介 (Vo.&G.) 、UNISON SQUARE GARDENの田淵智也 (B.) 、新井弘毅 (G.) 、鈴木浩之 (Dr.) の4人で結成され、注目せずにはいられないイカしたバンドTHE KEBABS。メンバーの佐々木さん、田淵さんに、デビューライブアルバム『THE KEBABS』について、高校時代のお話についてもお聞きしました!

苦手だと思う時間を過ごしたくなくて
嫌だけど頑張ってしまう

おふたりの高校時代をまったく想像できないのですが、高校時代は何かに夢中になっていましたか?

田淵 バンドかな。同じ高校のUNISON SQUARE GARDENの斎藤と別の高校に通っていた (UNISON SQUARE GARDENの) ドラムの鈴木、そこにもうひとりボーカルがいて4人でバンドを組んでいました。

佐々木 高校時代にはUNISON SQUARE GARDENができてたんだ! 俺も高校時代は楽器が好きでバンドを組んでいて、くるりのコピーをしてました。田淵さんは超勉強してたんでしょ?

田淵 勉強? テスト勉強はめちゃくちゃしてたね。テストでわからない時間がすごく嫌いで、短期記憶でめちゃくちゃ頑張って詰め込んでた。

バイトはされていましたか?

田淵 ハンバーガーショップで働いていました。ハンバーガー作るのめちゃめちゃ早くてきれいに作ってましたよ。そのうちカウンターをやるように言われたんだけど、接客がすごく苦手でね。でも、さっきのテストの話と同じで、嫌だけど頑張んなきゃって思っちゃうのね。だから接客態度はよかったです。

人前に立つのが苦手なのに、バンドでステージに立つことに抵抗はなかったのですか?

田淵 バンドはたくさんの人を盛り上げたいとか、外に向かう感じではなくて、楽器を弾くことや大きな音を出すのが楽しくて。あ、高2の時、文化祭実行委員してたのを思い出した!

佐々木 田淵さん、けっこう一軍じゃないですか。

田淵 文化祭のライブは体育館で行われてたんだけど、俺が全部仕切ってタイムテーブル作ってたわ。

それはすごいです! 佐々木さんはいかがでしたか?

佐々木 僕は高校卒業前にコンサートスタッフのバイトをしていました。チケットのもぎりをしたり、ライブハウスでダイブする人を受け止めたり。学校では、田淵さんほどリーダーシップはなかったですね。

もしみんなが間違ってるって言っても
自分が正しいと思ったら絶対間違ってない

バンドマンを目指したきっかけは?

佐々木 子どもの頃、親が転勤族だったから海外にも住んでいたことがあって。海外の日本人学校では、いい小学校、中学校、高校に行って、いい大学出て、いい会社に行って、いい結婚をして、いい墓に入るみたいな道をみんなが目指しててね。うちは祖父母が公務員だったから「生活が安定している公務員になれ」ってずっと言われてたんだけど、ある時、コロンビアから来た日本人の友だちに「一番衝撃だった体験は何か?」って聞いたら、現地ではマシンガンを向けられたりしながら生活をしてる日本人の子どもがいるって。それを聞いて、祖父母に従って公務員を目指すワンパターンな生き方は俺じゃない気がするって思うようになったの。一生懸命勉強する人を否定する気はなかったけど、いよいよ大学受験で自分の生き方を決めなきゃいけなくなった時、勉強するんじゃなく、図書館で誰も読んだことない本を探してた。そういう意味ではそっちに全フリしてた。デビューしたいとか正直なかったけど、バンドが好きだったし、音楽も好きだったし、自分のあり方を見つけたいとずっと思ってて。そのまま今に至ってる感じ。

田淵 自分が空っぽだから、自分を探してね。

佐々木 ほんとそう。今でも探してる。わかったフリをしないで、知ろうとしてる。18歳から変わらず同じです。

田淵さんは、進路を決める際に悩んだことはありますか?

田淵 中学受験はしたけど、そのままエスカレーターで大学行ってるから大学受験してないの。流されるままにここにいるような気がしていて。音楽で飯を食えるのはひと握りだってよく言われるけど、宝くじが当たるみたいなもんだから “バンドで夢掴んでやるぞ!” みたいな気持ちは初めからまったくなくてね。でも、お客さんが増えたり、お前の音楽はいいっていう大人がいたりで、周りが就活というものをやってる中、何かおもしろそうだから音楽やろっかなって、わりと流れるようにこっちに来ちゃったね。

進路はどうやって決めたんですか? 音楽を仕事にしたくて芸術学部を選んだんですか?

佐々木 その時は別に俺は音楽で食っていくぞみたいな野心があったわけでは正直なくて。さっき言った通り、自分がわかってなかったんですよね。それを探すためにすごく学費が高い大学に行っちゃったんですけど。さっき、田淵さんが流されてきたって話したけど、俺すごく正直な答えだなって思ったんだ。だから正直、大学で学んだことは全然役にたってないかな。

田淵 俺も大学出たんだけど、そうだなぁ。

佐々木 直接的には役には立ってないけど経験したことに意味があるかないかは、その時にわからなくても後でわかる。大学とか高校で勉強したことが、一見今の仕事にまったく反映されてないようでも、どこかに生かされてると思うから無駄だとは思いたくないですね。

具体的に、あの時やってたことが今生かされているということはありますか?

佐々木 だとしたら、やっぱり高校3年生の時に図書館で過ごした時間かな。周りの人たちと違って、俺は将来のことを何もしていなかったから、コイツは人生失敗するだろうって思われてたかもしれないけど、その時から俺は自分が選んだことだけが正しいと思ってた。それが今の俺につながってる気がして。“もしみんなが間違ってるって言っても、自分が正しいと思ったら絶対間違ってない”、そう思いながら歌を作ってるのかもしれません。

田淵 これは太字で載せてください。

佐々木 口で言うより、歌った方が説得力あるかもしれない。だから音楽最高って思うんですけど。

今のめちゃめちゃ刺さりました! 本当にありがとうございます!

THE KEBABSはUSJ?
ふたりにとってのTHE KEBABSとは?

2月に1stアルバム『THE KEBABS』がリリースされました。デビューアルバムをライブ盤でリリースされたのにも驚きました! 中でも『恐竜あらわる』がすっごく好きで、歌詞に「襲来 襲来」ってありますが、その前から曲調がちょっとゆっくりになって、そこから「襲来 襲来」と歌われるところが好きです。

佐々木 ありがとう!

田淵 あるよね、佐々木が歌うとカッコいい言葉になるっていうのが。佐々木や、楽曲提供する他の人たちも、自分のバンドもそうだけど、この人が歌ったらカッコいい言葉ってそれぞれにあって、それがその人の強みであって、僕はそれを提案するのがたぶん好きなんだ。

佐々木 考えてみたら、高校生の時に文化祭のタイムテーブルを作っていた人だから、人のカッコいいところを見極める才能がすごいですよね。

プロデューサー的な?

佐々木 うん。

田淵 これまでは複雑なカチッカチッとした音楽ばかりを作ってきたから、『恐竜あらわる』のようなシンプルな曲を作れない自分にコンプレックスみたいなのがすごくあったんだけど、たまたまTHE KEBABSは歌詞や曲に関して矛盾とかダサさを恐れないところや、佐々木が歌うからカッコ良く聴こえるという新しいチャンネルがあると思っていて。シンプルな曲でもこの人たちがやるとめちゃカッコ良くなるという発見があるバンドがTHE KEBABSです。

佐々木 大人になっても発見だらけなんすよ。

田淵 人生楽しいっす。

佐々木 少なくとも昨日までカッコ良かったものを真似してカッコいいっていうよりも、昨日までダサかったはずのものが今日カッコ良くなっていれば楽しいっていう感じがTHE KEBABS。

THE KEKABSは結成して1年と少し経ちますが、おふたりにとってTHE KEBABSはどういう場所ですか?

佐々木 a flood of circleに関してはもっと大きい会場でライブをやって、そこに行かないとわからないことを確かめたいって思ってるんだけど、THE KEBABSは “楽しい遊びを一緒にしようぜ!” ってところから始めたので、マジでおもしろいものだけ、ただ楽しく音楽をできる場所かな。

田淵 そうね、ユニゾンだと1年後に全国ツアーやって、逆算してここまでにアルバムを作っている感じなの。それはある意味音楽家として付き合ってくれてるみんなを幸せにするために大事なことだけど、THE KEBABSは「この日空いてるからみんなでUSJに行こう!」みたいな感覚に近くて。これからも空いてる時にライブをして、スタジオに入ったら新曲ができるみたいなのが続いていくんじゃないかなと思っています。そういう場所であってほしい。

佐々木 場所としてはTHE KEBABSはUSJだってことですね。

田淵 ああ、それいい例えだね。

春は高校生にとって、進学・進級・就職と環境が大きく変わる季節です。そんな高校生に向けておふたりから背中押すようなイカしたメッセージをお願いします!

佐々木 さっき言ったことになっちゃうけど、自分に自信がない時って人の話を聞いちゃうんだよね。だけど、本当は自分が何したいか自分に聞かなきゃわかんなくて。だから勇気を出して人の話を聞くより、自分の話を聞くことができるといいと思います、っていうことかな。

田淵 なんだろうね、流されるまま乗っかってみるのもひとつの人生かなと思っています。ご参考までに。

THE KEBABS

DISC INFO

 debut Live album
 『THE KEBABS』
 【初回限定盤】
 TECI-1671
 ¥3,500(tax out)
 
 【通常盤】
 TECI-1673  
 ¥2,000(tax out)
 ※now on sale

収録内容
01. オーロラソース
02. THE KEBABSがやってくる
03. すごいやばい
04. 恐竜あらわる
05. ピアノのある部屋で
06. ホラー映画を観よう
07. メリージェーン知らない
08. THE KEBABSは忙しい
09. 猿でもできる
10. 枕を変えたら眠れない

Bonus Disc収録内容 ※初回限定盤のみ
01. 台風ブンブン(DemoCD THE KEBABS#1収録音源)
02. Bad rockn’roll show(DemoCD THE KEBABS#2収録音源)
03. THE KEBABSのテーマ(IKASHITA fade MIX)
04. おねがいヘルプミー
05. まばゆいpart 2
06. まばゆい

※now on sale

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