水田わさび&大原めぐみ|『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』「パーフェクトな自分になることに憧れていた」

「もしもどこかに何でも叶う夢のような楽園が存在していたら─??」、「僕らの“らしさ」をテーマ描いたシリーズ42作目となる『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』が3月3日(金)より公開中。ドラえもんの声優・水田わさびさん、のび太の声優・大原めぐみさんに本作のテーマである “自分らしさ” についてお話を伺いました。

自分自身とのび太くんが
すごく重なるところがあった(大原)

『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』はたくさんのテーマが詰まった作品だと思います。お二人が本作で意識されたことはありますか?

大原 パーフェクトな自分に憧れるのび太くん。その心の中にある他人と比較して自分には足りないと感じている「劣等感」というものの反対側の「パーフェクト」に対する強い憧れを抱いているのび太くんの気持ちをしっかり汲み取って演じました。

その感じがすごく伝わってきました。

大原 おお。ちゃんと伝わっている(笑)

のび太くんの気持ちが変わっていく様子にグッときました。水田さんはいかがですか?

水田 私はドラえもんを演じ始めた時から、可愛くておっちょこちょいでドジな感じをずっと意識して演じているのですが、今作はそれが見事に生かされたシナリオだなと思いました。ちょっとおっちょこちょいで、のび太くんたちと一緒に成長していくドラちゃんだからこそ、今作の (パーフェクトネコ型ロボット) ソーニャとの対比があって、ドラちゃんがのび太くんと一緒にいる意味がすごく生かされているシナリオだからこそ、自分が演じてきた可愛らしさをより一層生かそうという心意気で演じました。


本作のキャッチコピーは、「僕らの “らしさ” が世界を救う」ですが、今の時代は自分らしさを出すよりも自分らしさを出さずに周りに合わせることが多いと感じています。しかし、本作はそんな私たちを応援してくれるような作品に感じました。ところで、お二人は高校時代どんなキャラクターでしたか?

大原 高校時代は自分を出すことが怖かったというのはあったかもしれないです。“この人だったら素の自分を出しても受け入れてもらえるかな” と、すごく相手を伺いながら自分を小出しにしていました。でも、基本的には信頼関係を築けるようになれば自分を出せるようになっていったので、高校時代は特に問題なく友だちと仲良くやれていたかな。

水田 私は部活のソフトボールばかりしていたので、高校時代はとにかく部活が楽しかったです。

お二人は周りからどんなタイプと思われていたと思われますか?

大原 仲の良い子には面白いと思われていたような気がします。その当時は友だちの前で特徴のある学校の先生のマネをしていました。いるじゃないですか? 喋り方にすごく特徴がある先生。

水田 いるいる! (笑)

大原 そういう先生のマネをして友だちに笑ってもらうことがすっごく楽しかったという思い出があるので、基本的には楽しくて面白い人と思ってもらえていたかなと思います。

クラスの立ち位置的にはいかがでしたか?

大原 あまり自分を出さないようにして、隅っこにいる感じでした。だけど、学校帰りに仲の良い子の前では爆発していたというか。メリハリがすごくある感じです(笑)

目立とうとはされなかったのですか?

大原 だって、目立ったら怖いじゃないですか。なので、今回のお話は自分とのび太くんがすごく重なるところがあって。私は劣等感も持っていたし、パーフェクトな自分になることも憧れていました。

水田 私はワイワイガヤガヤしていたいけど、そんなに前に出るタイプじゃなくて友だちについて行くタイプだったかな。でも、はしゃいでいたから「うるさいなぁ」と指摘を受けていましたね(笑)

高校時代は何をしている時が楽しいと感じていましたか?

水田 私は部活。特に、シートノック!(笑)。打撃練習よりも守備練習が楽しかったです。

ひたすら守備練習ですか?

水田 守備がめっちゃ楽しかったです。高校あるあるで、ソフトボール部と野球部で同じグラウンドを使っていて、こぼれ球を拾いに行くと野球部のカッコいい先輩が球を拾ってくれたり、逆に野球部のボールが来た時は私が拾って野球部のカッコいい先輩に投げたりして、その一瞬のキュンキュンを楽しみに活動していました(一同笑)

青春ですね!

水田 青春! 青春!! こんなんだけど、青春あったんよ! 部活している時は楽しかったな。

大原 私は友だちと喋っていた時かな。友だちとファストフードに行って、どうでもいいような話をしている時が一番楽しかったです。自分の心を開いて、言葉を選ばなくてもいいような関係性の中で日常会話をすることが、日常なんだけどすごく貴重で楽しかったなと今振り返ると思います。

当時、大原さんが一番自分らしく振舞えていたのは友だちと一緒の時ですか?

大原 そうですね。考え過ぎてしまって、勝手によそよそしくなってしまうことがあったので、その時は仲の良い友だちの前では自分らしく振舞えました。

水田さんは自分らしく高校時代を過ごせたと思われますか?

水田 楽しかったから自分らしくいられたと思います。部活で監督にめっちゃ怒られたり、厳しい練習や試合で負けて泣いたりとか、スポーツって感情が露わになること多いので部活動ではある程度自分を出せていたと思います。お互いカッコつけることなく本心で向き合えるみたいな空間が自然とあったのかもしれないです。

お二人は今、ご自身らしく振舞えていますか?

大原 今は自分らしくいられていると思います。ダメな自分に許可が下りたというか。昔は自分に自信を持つことができなくて、人と接することも怖かったけど、周りはそんなことないよと受け入れてくれるし、自分が思うよりも優しいということに気付いてからはどんどんいい風に変わっていきました。

それに気付くきっかけはありましたか?

大原 自分とたくさん向き合いました。同じことを言われても違う捉え方をする人もいるのに何でそう思ってしまうんだろうと自分とめちゃくちゃ向き合って。その結果、ありのままの自分を受け入れてあげられなかったというところに辿り着いたので、はっきりしたきっかけはないです。

▶次のページではお二人がドラえもんのひみつ道具の中で欲しいものについてお聞きしています。