WOWOW「連続ドラマW 事件」|北香那「“本当の気持ち”を言葉にすることはすごく重要」

元エリート裁判官の弁護士が残酷な真実に立ち向かうが、法廷では意外な事実が次々と浮き彫りになっていき…。WOWOWで8月13日(日)より放送・配信されている椎名桔平さん主演の「連続ドラマW 事件」(全4話)。「事件」の被害者である坂井葉津子役を演じた北香那さんにお話を伺いました!

葉津子を演じられたことは
人生の中で大きなステップになった

「事件」を拝見しました。テーマが深くて、それぞれの立場や過去に共感できて終わり方がすごく印象的でした。北さんは、ご覧になっていかがでしたか?

 自分のお芝居のチェックよりも作品に観入ってしまいました。私は序盤で胸にナイフが刺さった状態で遺体となって見つかる役なので、裁判のシーンや他のシーンには出演していないのですが、裁判のシーンは、ものすごく異空間で緊張感がありました。証人や裁判官、検察の方々などの一言でひとりの人生の未来が決まるということが実際に日々行われていると思うと生々しさもあって、不思議な気持ちになりました。いろんな世代の方に楽しんで観ていただけると思います。

本作の内容を聞かれた時はどう思われましたか?

 それぞれが背負っているものやこれまでに経験してきたものなど、どんなに重いお話なんだろうと思いました。でも、それぞれがちょっと救いのある形で終わったから良かったです。

北さんにとって葉津子役はどのような経験になりましたか?

 中学生からお芝居をしてきて、葉津子のような役は初めてでした。私は、今までは本人のバックボーンをあまり考えずに感覚で演じている部分が多かったのですが、役が背負っているものを想像しながら演じることは初挑戦でしたし、葉津子を演じられたことは自分の女優としての人生の中で、新たな、そして大きなステップになったと思います。

葉津子を演じる北さんの表情が別人のように見えて驚きました。葉津子を演じる上で意識された点はありますか?

 先ほど「表情」と言ってくださいましたが、「表情」でのお芝居が多かったと思います。妹(佳江)と宏との関係性や、妹に悟られてはいけない恋愛感情とか、最後に「ありがとうございました」と言ってしまった時のお母さんを見る目、その言葉を聞いた瞬間の顔など大事にして演じていたかもしれないです。だから、そこに注目してもらえたのは嬉しいです。

私は学校で演技コースに入っていて演技がすごく大好きで、死体役に憧れを持っています。

 珍しいタイプですね(一同笑)。どうしてですか?

先輩方が舞台で死体役を演じているのを見てからずっと演じてみたいと思っています。北さんは、死体のシーンをどんな感情で演じられたのかがすごく気になりました。

 ドラマなどで死体役の心臓が動いていると気になるじゃないですか。今回の「事件」は葉津子の死体として倒れているシーンから始まるので、芝居を考えるよりも絶対に心臓を動かさないぞ! 瞬きをしないぞ! とすごく意識しました。

自分に優しくして
生きてみようと思った

次々と登場する証人の発言や、最後まで事実を証言しない宏を見ていて、人の本当の気持ちや真実はその人にしかわからないことだと強く感じました。

 確かに考えさせられます。本当の気持ちを言わずに抑えることで、たぶんこの事件が生まれてしまったのだと思います。本当の気持ちを言葉にすることはすごく重要だと思いますし、大人になってからは相手に気持ちを察してもらうなんてことを考えてはいけないと思うようになりましたが、もちろん他人に気持ちを言えない人もいると思うので、そこまで汲み取って会話をすることも大事なのかなとも思います。人間って難しくて面倒くさいですけど、そこはすごく大事ですね。

北さんご自身は“本当の気持ち”について、葉津子を演じられる前と後で変わりましたか?

 変わったかもしれないです。葉津子って最初から我慢しすぎたんじゃないかなと思います。姉であるという前にひとりの人間として、自分が生きやすい位置に自分を持っていくことはきっと自分にしかできないですし。だから、思うままに言葉にして物事を伝えて我慢しないで生きようと思いました。

北さんは、本当の気持ちを周りの方に伝えられるタイプですか?

 すごく苦手です。私には10歳下の高校生の妹がいるんですが、例えば妹のことを考えていろいろ我慢したり、相手が嫌な気持ちになったらどうしよう、関係がこじれるぐらいだったら言わない方がマシかなとか思ったりしていました。でも我慢って本当にストレスで、言わないことは本当に良くないんだなとここ1、2年で考えが少し変わりました。

そう思うきっかけはありましたか?

 せっかく生きているんだったら、ちょっとでも自分に優しくしてあげたいという思いです。言わないことや我慢することはすごく自分を苦しめますし、自分の心は誰も気付いてくれないじゃないですか。ひとり暮らしを始めて、自分に優しくして生きてみようと思ったのがきっかけだと思います。そう思えた直後に葉津子の役を演じられたのは、すごくいいタイミングだったかもしれないですね。

高校生ってなかなか本音を言えない部分があります。

 友だち関係でもいろいろありますよね。私も高校生の時はそうでしたから、これからどんどん変わってくんじゃないかと思います。

高校生活において自分の気持ちを伝えることや、お友だちとの関係でアドバイスをお願いします。

 当時の自分を思い返すと、高校がすべて、学校で関わっている人や親がすべてと思っていました。でもそんなことはなくて、本当につらいことがあったり、辞めてしまいたいことがあったりしたら逃げてもいいと思います。そこで無理に戦って自分をダメにするぐらいなら、少し自分に優しくして欲しいです。友だち関係でもこの子と一緒にいると苦しいと思うことがあれば、そこから離れて、自分のために10代をいかに充実させるかを優先したらいいと思います。知り合いが友だち関係で学校に行きたくないと悩んでいたんですが、結局友だちを変えて今すごく楽しいようなので、今いる場所だけがすべてじゃないと思います。

北さんは大阪までお笑いを観に来られるほどお笑いがお好きだそうですが、好きな芸人さんはいらっしゃいますか?

 今イチオシは“軍艦”という漫才師さんです。私はNSC時代からずっと追っかけているんですけど、まだ2年目なのにツーマンとか、いろんなライブに呼ばれているんです。私、“軍艦”と同い年なので余計に応援したい気持ちが強いです(笑)。かなりイチオシの芸人さんなので注目してください!

はい! 俳優のお仕事をする上で、芸人さんから得られることはありますか?

 あります! 俳優は台本をいただいてセリフを覚えて役を演じますが、芸人さんは自分たちで0から1を作って覚える、そして板の上で人を笑わせるという作業をされていますよね。舞台上でお芝居するだけでも大変なのに、人を笑わせて感情を動かすことに挑戦されている姿にはすごく勇気をもらっていますし、リスペクトしています。

今月の特集テーマ
「防災対策グッズ」


缶詰
 ちょうど防災グッズを用意しないといけないと思っていたところでした。大好きな焼き鳥の缶詰やお米とかを用意できたらと。最近、父の会社に置いてあった非常食のフリーズドライのご飯を食べたのですが、とても美味しかったです。今、非常食もレベルが高いですね。ちなみに、防災グッズ販売の詐欺が増えているようなので、皆さん注意してください。

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「連続ドラマW 事件」
  • 監督:水田成英
  • 脚本:三田俊之 保木本真也
  • 原作:⼤岡昇平『事件』(創元推理⽂庫刊)
  • 出演:椎名桔平
    北香那 望月歩 秋田汐梨 高橋侃/ふせえり 貴島明日香 中村シユン 仁村紗和
    入山法子 堀部圭亮 いしのようこ/永島敏行/髙嶋政宏 ほか

WOWOWにて毎週日曜午後10時放送・配信中