【前編】TVアニメ「RE-MAIN」総監督&脚本・西田征史さんに高校生が取材!作品に込めた思いは?

TVアニメ「RE-MAIN」
総監督・脚本 西田征史(「TIGER & BUNNY」)×アニメーション制作 MAPPA(「呪術廻戦」)の初タッグで水球に挑む!

7月3日より放送開始の注目のTVアニメ「RE-MAIN」。総監督を務めるのは、これまで数々の話題作の脚本を手がけてこられた西田征史さん。今回はテレビアニメ制作に挑戦ということで、制作追い込み真っ只中の西田さんに、chスタッフがインタビューさせていただきました!

【前編】では、作品に込められた思いから、西田さんの高校時代のお話までお聞きしました。

RE-MAIN

高校時代に打ち込んだ
水球部の経験を作品に込めた

まずは、水球がモチーフのアニメということに驚きました。水球を描く作品にこだわられた理由を聞かせていただけますか?

西田 僕は学習院という中高一貫の学校に通っていたんですが、中学時代に水泳をしていて、高校では水泳部がなかったので、当然の流れとして水泳部のメンバーと共に水球部に入ったんです。水泳の時は個人種目なので個人の戦いだったのが、水球では、それまで個人で戦っていたメンバーとパスをし合って練習するのがすごく楽しくて。

40歳を超えた今、人生を振り返ると、高校時代の“なんであんなに一生懸命やっていたんだろう”というくらい熱量をかけていたあの時間は、貴重な時間だったなと思ったんです。だからあの日々を描いてみようと。それに悲しいかな水球はマイナーな種目なので、水球を広められたらいいなという思いもありました。

水球の魅力はどんなところですか?

西田 マイナースポーツがゆえの結束感があって、敵チームでも“水球仲間”みたいな意識がみんなにありましたし、今も取材に行くと、身内意識が生まれます(笑)。これは水球に特化したことではなく、スポーツ全般にいえることですが、一生懸命頑張ればタイムが1秒上がるとか、自分を追い込んで頑張れば報われる、ちゃんと自分に返ってくるというのは、僕の人生のベースになっているところがあります。

「RE-MAIN」はどんな作品になりそうですか?

西田 「RE-MAIN」では、“自分がライバル”ということを打ち出したいなと思っています。スポーツには自分が頑張ることによって昨日の自分に勝てる、という部分があるので、それぞれのキャラクターの挫折した経験や自分と向き合う姿、水球を通して出会った仲間、家族との時間を描いています。

RE-MAIN

作品を作る上で、こだわっていることは何ですか?

西田 “間(ま)”ですね。特にコメディ感。キャラクターを愛してもらう時に、笑ってもらえるかどうかが一番大切だと思っているので、主人公の(清水)みなとくんは怪我をした経験からシリアスな空気が出る部分もあるんですが、だからこそ一生懸命やっている彼と共に笑って欲しいと思っています。僕自身、一生懸命やっていたけど最後の大事な試合の前日に盲腸になって試合に出られなかったり、カッコ悪いこともいっぱいあったので、カッコ良すぎない高校生を描けたらいいなぁと思っています。

私たちとしては、その方が共感できて嬉しいです!

西田 それがリアルかなと。だからみんな、カッコいいところもあるし、カッコ悪いところもある。他にも網浜(秀吾)くんというキャラクターは、中学時代に競泳選手だった孤高の存在なんだけど、ちょっと独特なところがありまして…。そういうところが人間ぽいかなと思っています。自分の頭に浮かんだキャラクターが人の手によって形になって、声優さんに息を吹き込まれて生きていくのは、とても嬉しいし、幸せですね。

キャラクターを考える時は、実在の友だちがモデルになったりするんですか?

西田 誰かをイメージして書いたことはないんですが、経験から生まれている部分はあると思います。でも「RE-MAIN」で出てくる山南高校水球部の部室は完全に自分の高校時代の部室を再現しました(笑)。今はもっときれいになっていますが。

RE-MAIN

資料のために西田さん自らプールにも入られたとお聞きしたのですが…。

西田 そうなんです。水球の動きは特殊なので、絵コンテから組み立ていく時に、水球を知らないと描けません。それで実際に動画を撮ってみようということになったんだけど、“じゃ、誰が?”ってなると、僕しかいないですよね(笑)。水球って、深さ2メートル以上のプールで競技するので、水面下はずっと立ち泳ぎをしていて、水面上にどのくらい体が出るかや、手足の動きが難しくて。水中の動きは厳密には見えない部分も多いんですが、水中での足や手の掻く向きが違っていたら、修正をお願いしたりしています。

僕も中学の時水泳をしていたんですが、立ち泳ぎができないので、すごいなと思います。

西田 いやいや、足が着かないプールに入ると、追い込まれてみんなできるようになると思いますよ(笑)。ある段階を越えると、立ち泳ぎはずっとできる感覚になるんです。浮いているみたいな。ボールも片手で掴まないといけないんですが、これも2〜3時間コロコロしていたらコツは掴めるんじゃないですかね? そこからまた難しい壁もありますが。

RE-MAIN

熱量の塊のような
アニメ制作の現場

MAPPAさんは「呪術廻戦」でも話題ですが、アニメ作りの現場は、いかがですか?

西田 スタッフの平均年齢が30代前半くらいなんじゃないかな。みんな若くて、勢いを感じます。これまでもアニメの現場に脚本で入らせてもらったことはあるんですが、作画をチェックして作るところから一緒にするのは初めてで、改めてすごい時間と熱量がかけられているんだなと感じています。打ち合わせを始めてからここまでの約8ヶ月、ずーっと緊張感が続いている感じですね。ここから先もあるから1年続きます。

そうなんですね。

西田 1話あたり5000枚や6000枚の画をチェックして、修正して、ようやく“完成が近づいてきた”と思ったら、“あれ?まだ1話だ”っていう…(笑)。本当に多くの方が動いてくださっているし、熱量の塊、みたいなイメージですね。

RE-MAIN

水球も体力勝負だし、アニメ作りも体力勝負なんですね。水球って“水中の格闘技”とも言われていますよね?

西田 そうそう。あくまでも僕らの頃はの話ですが、水の中で審判にバレないように敵チームの水着を脱がせる、みたいなこともありました。だから脱がされにくいように2枚重ねに履いたり、あえてピチピチの水着を履いておくという裏技もありました(笑)

私は明治大学付属中野高校の文化祭に行った時に公開試合をしていて、そこで初めて水球を見たんですが、めちゃくちゃカッコ良かったです。

西田 カッコいいでしょ? 明中は東京の超強豪校ですからね! 僕らにとっては、悪魔みたいな存在でしたよ(笑)。当時は東京に水球部のある高校が14校あって、関東大会に行けるのが4校。そのうちの1校は必ず明中でしたね。みんなマッチョなんですよ。しかも僕らは屋外プールだったからすごく日焼けしていたんですが、明中は屋内プールだから焼けてなくて、その白さが妙に怖かったのを覚えています(笑)

高校時代の一番の青春は
駅で告白されたこと!?

西田さんは高校時代はどんなタイプでしたか?

西田 クラスの中だと僕はちょっと引いて見ているタイプで、心の中で面白いことを考えて、隣にいる中村くんという友だちに小さい声で言って笑わせる、という感じでした(笑)。でも高3の文化祭では3〜4人でネタをやったり、夜中に放送していた落語の番組を見て覚えて、友だちに聞いてもらったりもしていました。

そこからお笑いの世界に入られたんですか?

西田 高校水球部のコーチをしてくれていた学習院大学の先輩から、就活で水球部OBの職場訪問をしたという話を聞いたんです。その時に、あの日中学でなんとなく選んだ水泳が就職先まで繋がって、人生が決まるのはなんだか嫌だなと思い始めて、高3で急に焦って将来を考え始めました。で、大学に進学した際に先輩に他のスポーツをすると言ったら許されないかもしれないけど、「お笑いやるんで辞めます」と言うのは通るかなと思って、雑誌に載っていたホリプロのお笑いオーディションを受けて、大学に通いながらお笑いを始めました。

私ならあえて険しい道を行く勇気はないので、そのままエスカレータで行っちゃうと思います。

西田 時代かもしれないですが、今って1回失敗しちゃうとリカバリーできないみたいな風潮があるのか、安定の道を行った方がいいとされているけど、僕らの頃は、まだ、努力は報われる、みたいな感じがあったんですよね。僕は環境が人を作ると思っているから、環境に飛び込まないと気付けないことはあると思うんです。だからやりたいことがあるなら、チャレンジして欲しいなという気持ちはありますね。

西田征史

高校時代で一番青春だった出来事は何ですか?

西田 んー……新宿駅で、女の子に手紙をもらったことがあります! それが一番輝いていた青春(笑)。いつも新宿駅で乗り換えて高校に通っていたんですが、駅で声をかけられて。小学生の頃に通っていた塾で一緒だった子らしくて。その後男女6人で映画を観に行くことになったんです。デートムービー的な『プリティ・ウーマン』を選んで行ったらすごく混んでいて、結局『ちびまる子ちゃん』の映画を観て、何もなく終わりました(笑)

それはめっちゃ青春! 手紙っていうのがポイントですね!

西田 嬉しかったですね。めちゃくちゃ赤くなってたと思います(笑)

高校時代の西田さんだったら、水球のアニメが放送されると聞いたらどう思われたと思いますか?

西田 そうだなぁ、期待もある分、厳しい目で見てしまうかもしれないですね(笑)。僕も高校の時に『赤いシュート』という水球が描かれたイタリアの映画が公開されて部員何人かで小さな映画館に観に行ったり、オリンピックの中継を見たり、水球の情報があるとむさぼるように何でも見ていました。

では高校生読者・水球部の高校生へメッセージをお願いします!

西田 今は、コロナ禍で目指してきた大会ができなかったり、無念な思いがたくさんあると思うんですが、「RE-MAIN」には「何かに打ち込んだその先の感情」を込めたつもりなので、作品を見てほんの少しでも発散してもらえればと思います。本当にほんの少しでも。

水球部の皆さんへのメッセージは、えー……お腹を壊さないようにしてください! 意外と水は冷たいですからね。あと作品を粗探しの目で見るのはやめてね(笑)。マイナースポーツだからこそ、みんなで手を取り合って盛り上げていきましょう! よろしくお願いします。


西田征史

【後編】は 6/30(水)にUP予定です。
今月のテーマ「自分に合った居場所の見つけ方」についてお聞きします。千葉県立東葛飾高等学校 水球部からメッセージも!お楽しみに!


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RE-MAIN
  • 原作:西田征史・バンダイナムコアーツ・MAPPA
  • 総監督・シリーズ構成・脚本・音響監督:西田征史
  • 監督:松田 清
  • キャラクター原案:付藤加青浬
  • キャラクターデザイン:田中志穂
  • 音楽:うたたね歌菜(TaWaRa)
  • OP主題歌:ENHYPEN
  • ED主題歌:仲村宗悟
  • 制作:MAPPA
  • 出演:上村祐翔(清水みなと)、西山宏太朗(岡 栄太郎)、木村 昴(城島 譲)、斉藤壮馬(網浜秀吾)、古川 慎(江尻武一)、畠中 祐(猪俣ババヤロ豊)、廣瀬大介(牛窓善晴)、他

©RE-MAIN Project

7月3日より毎週土曜 深夜1:30~テレビ朝日系全国24局ネット“NUMAnimation”枠にて放送

※放送日時は、予告なく変更になる場合がございます。

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