【よしもとTALK】令和喜多みな実「みんなの日常がちょっと上向くきっかけになればいい」

令和元年5月1日にコンビ名を“プリマ旦那”から“令和喜多みな実”へと改名し、最近では野村さんが連続テレビ小説「おちょやん」に出演したことでも話題に。高校時代から相方への想いまでお聞きしました!

お笑いを学び、身近にしてくれたのは
MDウォークマン!?

おふたりはどんな高校生でしたか?

野村 仲の良い友だちもいましたけどだいたいひとりでいて、芸人さんのフレーズやギャグで笑いとってるヤツを心の中でバカにしてました。全然喋らへんくせに急にめっちゃ面白いこと言うんで、“何アイツ”って女子からめちゃくちゃ嫌われてました。

前回の取材で、野村さんは放課後、ワッハ上方資料館などで落語や漫才を研究されていたと伺ったのですが、学校でおひとりの時間はどのように過ごされていたのか知りたいです。

野村 僕らの時はMDウォークマンっていうのがあって、それでずっと落語を聞いていました。

野村さんは以前に「空きっ腹に酒」というバンドで活動されておられたとか?

野村 「空きっ腹に酒」のメンバーとの交流は今でも続いています。飛び抜けて浮いてた僕を快く受け入れてくれたメンバーです(笑)

音楽と漫才はどれくらいの割合でされていたんですか?

野村 半々やと思います。芸人を始めた時もバンド活動をしていたし。作曲みたいなんもやってましたね。作るのが面白い。

作曲といえば、FANYチャンネルの番組「MCRWへの道」の主題歌に野村さんの作られた楽曲が選ばれました。曲作りは以前からされていたのですか?

野村 そうですね。高1の頃から空きっ腹に酒のギターのヤツ(西田さん)と一緒に音楽スタジオ入って、こんなんどう? とか言い合ってましたね。

音楽もされていた中、お笑いの道を選んだ理由は?

野村 バンドは年取ってからでもできるし、お笑いでテレビ出たり、舞台で漫才やってたら両親も笑ってくれるのかなって。親孝行をしたかったんです。

当時、音楽とお笑い以外にハマっていたことはありますか?

野村 言葉を覚えたての時から映画が好きでずっと観てました。家でひとりで完結するようなことが好きで。高校の友だちは、ただ映画の感想を言い合うんじゃなくて、映画を作りたいとか、仕事につなげたいと思ってた自分と環境が似てる子たちが多かったですね。高校は分岐点でした。

河野さんはどんな高校生でしたか?

河野 野村とは逆で、文化祭でちょっと漫才やったり、出し物に参加したりするタイプでした。M-1グランプリをビデオで録って、それを自分でコードつないで音だけMDに落として(笑)。あとはナインティナインさんの「オールナイトニッポン」とかを毎朝自転車で聞きながら高校に通ってましたね。

研究熱心な高校生だったんですね!

河野 いやいや、研究とかじゃないですよ! その時は芸人になろうと思ってなくて、ただただお笑いが好きやったからです。

みんなの日常が
ちょっと上向くきっかけになりたい

2019年の「関西演劇祭」で、野村さん率いる「劇団コケコッコー」が4つの賞(最優秀脚本賞、最優秀演出賞、アクター賞、観客賞)を受賞されました! 劇団を作られたきっかけは?

野村 自分のものを作って、それを皆さんに見て欲しいっていうところから始めました。「漫才コンビやから漫才だけしておきなさい。関係ないことをするな」って会社にも先輩芸人にも言われましたけど。

どんなところにやりがいを感じておられますか?

野村 漫才って賞レースがあるからネタは4、5分ってのがほとんどなんです。僕らが一番得意とする10~15分とかそれ以上の時間の漫才は今の時代にそんなに求められてなかったりして。で、僕らが劇団でやってる本公演はだいたい1時間半から2時間。いろんな環境に置かれている人たちが、笑ったり泣いたりいろんな感情が同じ空間に流れていて。客席からお声をいただいた時に”あぁ作って良かった“って思います。笑ってホロっときて、誰しもが経験したことのある何かで、自分や身近な人が登場人物の誰かと重なるってことを大切にしていきたいです。

これから目指すところは?

野村 大会でご縁があって、NHKさんの朝ドラの「おちょやん」への出演が決まった時は親孝行になるなぁって嬉しかったし勉強になったので、これからうちの座員もどんどん活躍していって欲しくて、メンバー全員を朝ドラ、もしくは大河ドラマに出すのが目標です。それで、僕が脚本を書けたらいいですね。

先ほど子どもの頃から映画がお好きだったと伺いましたが、元々、演技にもご興味があったのですか?

野村 映画が好きで、芸人になったらいつか自分もそういう仕事もするもんだと思ってたけど、全然そんなことはなくて。待っててもそういう仕事は来ないので、じゃあ自分で(劇団を)作った方が早いなって。役者をやりたいとか、芸人やりたいとかそんな感覚もなかったですけど、何か作りたいなと思って。

これからどのようなものを作ってみたいと思われますか?

野村 今、映画を撮るために脚本の元になる小説をずっと書いてるんです。日本のどこかでこんな人がおって、こういうことが身近で起こってるんだろうなって、特別なことは何も起こんないけど観に来た人の明日が変わるようなものを作りたいなって思います。今年はバンドを始めたり映像作品を作ったりとか、一緒にやりませんか?とか、協力しますよって、お声を掛けてくださることが増えてきたので、漫才、芝居、音楽を通して自分が作るもので、皆さんの日常がちょっと上向くきっかけになればと思ってやっています。

河野さんはマラソンがご趣味だそうですね。どのくらいの距離を走られてるんですか?

野村 お前だけ趣味の話してる(笑)

河野 ほんまこれ載るんか(笑)

野村 高校生が自分の進路とか考えて読んでるのに、お前だけジムの話(笑)

河野 ま、高校生も今後ジム通いたい人もおるやろうし。今はコロナでジムに通えなくなったんで休日に大阪城公園を1時間半ぐらい走ったりはしてますね。

河野さんはボイスパーカッションがお得意なんですよね!

河野 (笑)

野村 だから、プロフィールから消しとけよってずっと言ってるやん。じじいになってバンドとボイスパーカッションをできたらなっていう感覚ですよ。

河野 まぁいつかやるかもしれないです。

河野さんが父親として息子さんと接する時に、どんなことを大切にされていますか?

河野 教えるのって難しいなって日々痛感してます。学生さんやったら、先生や家族からいろいろ言われて、正直うるさいな、嫌やなって一瞬煙たがることもあるかもしれないですけど、親になってみると教える難しさってすごくあります。息子はまだ3歳なんでこれダメあれダメって言ってももちろん理解できないから、なぜダメなのかっていうのを一個一個噛み砕いて伝えるようにしています。

お子さんの将来の願望や理想はありますか?

河野 別に犯罪以外は好きなことしてくれたら何をやっても止めないと思います。ただ笑って過ごして欲しいですね。

長年一緒にいる相方の
尊敬するところ

コンビ結成から今年で13年目ということで、相方の尊敬するところを教えてください!

河野 14年目ですかね。

野村 そんな怒らんでええやん。

河野 記事に載ることやからちゃんとしといた方がいいかなって。全く怒ってないです。尊敬するところは良くも悪くも変わらないところですかね。劇団のことに関しても、僕は反対してたうちのひとりでもあるんですが、劇団としても結果を出してるんで、やっぱり変わってないし、すごい人なんやなって思いました。

野村さんはどうですか?

野村  ……。

河野 嘘やろがい。さっきまで流暢に喋ってたのになんでこの質問だけそんな止まるねん。

野村 ごめんなさい。ちょっと電波悪いみたいなんで、上手いこと締めといてください。

河野 電波悪ないよ。喋れるやろ!

野村 家庭持ってるってすごいなって思いますね。この仕事って神経もすり減るし、楽しい面白いものを作って見せるってすごくプレッシャーに感じる場面もあるし、歳を重ねれば重ねるほど、楽になったりさぼり方を覚えたりするからこそ頑張らないといけないとか大変なことも多いんです。僕はひとりでも結構手一杯、精一杯。でも、(河野は)ちゃんと家族にご飯を食べさせていくために、自分のプライドをかなぐり捨てて先輩のラジオでよくへいこらできるなーって。

河野 だいぶ言い方悪いな。そんなつもりないけどなぁ。

野村 一家の主って僕はすごく憧れていて、それを30代の頭で実現させたこの人はすごいです。自分は今もできてないですし、できなかったんで。それで仕事も頑張ってるっていうのは素直にカッコええなと思いますね。家遊びに行った時、冷蔵庫めっちゃおっきくて、僕いまだにひとり暮らし用のちっちゃいやつ使ってるんで、それ見てすごく泣きそうになって。実家に置いてるサイズの冷蔵庫なんです。チルドもありました。

河野 なんで尊敬するところ冷蔵庫やねん。最悪やんけ(笑)



    令和喜多みな実の居心地がいいと思える場所は?

    河野 楽屋がめっちゃ好きです。見取り図の盛山さんは劇場番長というか、劇場どこに行っても盛り上げてくれます。楽しい人たちがいるのが好きなので、何もなくても楽屋にふらっと寄ったりしています。楽屋は家の次に居心地のいい場所かもしれないです。

    野村 飲み屋さんです。劇場って楽しいばっかりじゃなくて、協調性を求められるし、空気読まないといけないし、ちょっと疲れるところもあるんです。僕は、そういうところをさっと抜け出して、飲み屋さんで居合わせた年齢も性別も国籍も違う人たちとアホな話して、それが漫才、芝居にもつながってると思います。飲み屋さんは息抜き、落ち着く場所であり、勉強さしてもらう場所でもあります。

読者プレゼント

令和喜多みな実reiwakitaminami

野村尚平(のむらしょうへい)
’88年4月14日生まれ 大阪府大阪市出身
NSC大阪校30期生

河野良祐(こうのりょうすけ)
’86年10月25日生まれ 大阪府堺市出身
NSC大阪校30期生

2008年2月コンビ結成