東海テレビ国際基金 多文化交流プログラムpresents「心の表現 コミュニケーションの力でミライを考えよう」

東海テレビ国際基金の活動の一環として、2022年から開催している東海地区の高校生対象とした多文化交流プログラム。7回目となる今回のテーマは「心の表現 コミュニケーションの力でミライを考えよう」。ホワイトハンドコーラスNIPPONの芸術監督でソプラノ歌手のコロンえりかさんと理事で写真家の田頭真理子さんをお招きして、11カ国にルーツを持つ高校生と大学生が集いインクルーシブなコミュニケーションについて考えました。

コロンえりかさんソプラノ歌手/ホワイトハンドコーラスNIPPON芸術監督


ベネズエラ生まれ。聖心女子大学、大学院で教育学を学んだ後、英国王立音楽院声楽科修士課程を優秀賞で卒業。2019年東京国際声楽コンクールにて史上初グランプリ・歌曲両部門で優勝。日本ではラ・フォル・ジュルネや井上道義指揮、野田秀樹演出の「フィガロの結婚」など全国で公演。キングレコードより「BRIDGE」をリリース。国内外で演奏活動を続ける。ホワイトハンドコーラスNIPPONの芸術監督として音楽によるソーシャル・インクルージョンを目指した活動は2024年にバリアフリーの国際賞ゼロ・プロジェクトアワード、2025年にはバンクミケルセン記念賞を受賞。NHK番組の監修や出演も多数。音楽祭の企画監修や国際学会での発表や講演も精力的に行っている。4児の母。

田頭真理子さん写真家


広島県尾道市出身。写真家・立木義浩氏との出会いをきっかけに写真家を志す。客船「飛鳥」専属カメラマンを経て、2006年に独立。日本郵便、サントリーなどの広告写真をはじめ、「音楽の友」表紙撮影、音楽家・研究者・経営者・政治家のポートレートなどを手がける。震災被災地の取材やエルシステマの子どもたちとの関わりを通して、「人間の奥底から湧き上がるエネルギー」をテーマに作品制作を継続している。2017年、ホワイトハンドコーラスとの出会いを機に、「第九のきせき」の制作を開始。同作は東京芸術劇場(2021年)を皮切りに、京都、ウィーン、ドイツ、福岡などで展示。

ホワイトハンドコーラスNIPPON OFFICIAL WEBSITE

ホワイトハンドコーラスに挑戦!

今回のプログラムゲスト「ホワイトハンドコーラスNIPPON」では合唱の声隊と手話言語をベースに歌詞を「手歌」で歌うサイン隊の二つの部隊で編成されています。初めて手話に触れる学生も多い中、みんなで白い手袋をつけ、ホワイトハンドコーラスの世界へ!コロンさんの歌声にあわせて、ベートーヴェンの「交響曲第9番」、通称「第九」をドイツ手話による「手歌」で表現する体験に挑戦しました。

手歌は手の動きだけでなく、ポジティブ歌詞は笑顔で歌うなど、表情も大切なんだそう。そして、動きや表情の大きさによって、見る人に伝わる感情の大きさも変わります。例えば日常生活でも少しイラッとする出来事があったときと、どうしても許せないことがあったとき、抱いている感情は同じ怒りですが、その度合によって眉の寄せ方も変わりますよね。第九の合唱部分は「歓喜の歌」なので、できる限りダイナミックな表情と身体の動きで、大きな喜びの感情を表現しました。

はじめは合唱やダイナミックに動くことに少し照れもありましたが、実際にやっているうちに、表現することの楽しさが感じられ、この感情をもっと伝えたいという気持ちになってきます。みんなでひとつの曲を表現することで一体感も生まれ、とても素敵な合唱になりました。

さらに、光る手袋を使ってその手の軌跡を撮影することで、歌を「見える音楽」にする写真の撮影も体験。


©Mariko Tagashira

この写真、手の軌跡が立体的に盛り上がるようにすることで、「触って分かる写真」にもなるんです。

歌は聴くもの、写真は見るものというイメージを覆し、誰でも楽しめるようにするという発想は、健常者である私たちにも新たな楽しみや発見をもたらしてくれることを、今回の体験を通して知ることができました。


グループディスカッション

グループディスカッションでは、ホワイトハンドコーラスと体験して感じた「コミュニケーションの力」について話し合いました。

Aグループの発表


海外から来た学生は、来日して間もないころは日本語が全くわからなかったけれど、声のトーンや表情で相手の感情は読み取れたそうです。また、英語という共通言語で伝わったこともあるということでした。様々な表現方法を知っておくことで、どんな人とも通じあえるのではないかと考えました。また、赤ちゃんは言葉が話せないから、最初はなぜ泣いているのかわからなかったけれど、お世話をしているうちにだんだん赤ちゃんが何を伝えたいのかを読み取れるようになってきて、赤ちゃんも心を開いてくれたという経験から、伝わらないからと諦めるのではなく、どうしたら伝わるのか工夫をすることが大切だという意見も。そして、その工夫もホワイトハンドコーラスのように楽しみながらできるともっと素敵だなと感じました。ホワイトハンドコーラスは、動きや表情で表現するというところがダンスに似ていたので、ダンスと手話を組み合わせた表現にもチャレンジしてみたいです。

Bグループの発表


ホワイトハンドコーラスを体験して、表情の大切さを感じました。こんなに表情筋を動かしたのは初めてです。もっと自分の感情や意見が伝わるように、普段から表情を意識したいです。また、友だちと話しているときなど、普段から手話を交えて話し、手話が日常のなかで当たり前にあるものになれば、もっと聴覚障害を持つ人も社会の一員としての存在感を感じられるのではないでしょうか。愛知では今年アジア競技大会が開催されるので、それに向けて日常会話だけでも手話を覚えたいです。また、高校の授業で手歌を取り入れることで、多くの人に手話への理解が深まるといいなと思いました。また、手話は各国で違うそうですが、世界共通の手話ができると世界中の人と交流しやすくなるのではないかと考えました。

Cグループの発表


ニュース番組などで手話が使われていることを見たことがありますが、淡々としていたので、ホワイトハンドコーラスを体験して、手話や手歌がこんなにも表情豊かなものなんだと、初めて知りました。また、「見える音楽」の写真撮影を体験したパキスタン人の学生の笑顔が本当に素敵で、感情は言語よりも表情によって伝わるんだと気付きました。アルバイトで障がいのある方と接する時、何とかして「知ろう」「伝えよう」と頑張りすぎて顔が強張ってしまったという体験をした学生も。でもコミュニケーションの基本は「笑顔」「表情」だと学んだので心がけていきたいです。今日は多国籍、多言語の学生が集まっていて、通訳になりたいという夢を持っている学生もいますが、日本語や英語、スペイン語などの言語に加えて手話通訳ができたら、さらに世界が広がるのではないでしょうか。

Dグループの発表


ホワイトハンドコーラスは年齢も性別も国籍も関係なく一体感を感じられることができる感動体験でした。言葉ではうまく伝えらくても、表情では伝えられた、という経験をみんな一度はしているようで、今まで意識していなかったけれど、言葉以外で通じ合うという経験は思い返せばたくさんありました。「伝えたい」という思いはもちろん、「相手の思いを汲み取りたい」という、受け手側として「伝わった、わかった」という嬉しさもあると思います。言語が違ったり、手話も国によっては違ったり、ジェスチャーも国によって意味が異なったりする。でも、“表情だけ”でも伝わる。伝わらないと諦める前に、まずは、表情だけでも思いは伝わるんだと気付いて、チャレンジしていけたらいいなと思いました。


コロンさん

みなさんのディスカッション、素晴らしいなと思いました。私たちが今日伝えたかったことを、みなさんが自分のことと受けとめ、考えてくれたことが、本当に嬉しいです。

田頭さん

発表するときの表情がみなさんとても素敵で、言語を越えて気持ちが伝わってきました。言語や文化を越えて、仲良くなりたいという気持ちがコミュニケーションには一番大切だと思うので、ぜひ今日の気持ちをいろんな人に話してください。


「インクルーシブなコミュニケーション」について考えることで、たくさんの気づきがありました!

自分から「伝えよう」とすれば、どんな人とも通じあうことができるんだと実感しました。これからもっとたくさんの人とコミュニケーションをとりたいと思いました!

言葉以外にもたくさんの伝え方があると再発見することができました。人と触れ合うときはやっぱり笑顔が一番ですね!
ホワイトハンドコーラスを通じて、今日出会ったみんなと繋がれた気がして嬉しいです。人種も年齢も、障害も越えてひとつの曲を作り上げるなんて、素晴らしい体験でした。

音楽は聴覚、写真は視覚で楽しむものという固定概念が覆されました。改めて音楽は人と人をつなげるパワーを持っている芸術なんだと感じました。
自分は日本に住む日本人、そして健常者として、あまり通じないという経験をしたことがなかったので、新たな発見がたくさんありました。これを機に手話を学んでみたいと思います。


ホワイトハンドコーラス

ホワイトハンドコーラスNIPPONはすべての子どもに開かれています。ろう者、難聴、全盲、弱視、車いすユーザーなど、多様なメンバーが所属しているインクルーシブな合唱団です。南米ベネズエラで始まった、誰もが平等に音楽教育を受けることができる音楽の社会活動「エルシステマ」の理念に共感して設立されました。障がいの有無に関わらず、また経済的な状況に関わらず、誰もが無料で参加し、学ぶことができます。手話の表現で歌う(手歌)サイン隊と、声で歌う声隊がともに奏でる音楽は、可能性に溢れた未来世代の芸術創造です。

OFFICIAL WEBSITE


多文化交流プログラム 企画・ナビゲーター:臼井ゆり(東海テレビ CSR推進部)


東海地区の歴史や伝統文化、地元のアーティストを中心に、地元愛を大切にした多くのイベントや舞台、観客が参加できる体験型のイベントのプロデュースを事業部所属時に数多く手がけた。2022年から多文化交流プログラムを企画。チャリティ活動等を通じて聾者、難聴者の方々と出会い、手話文化と出会う。インクルーシブ社会について多角的に考えるプログラムを展開。

東海テレビ国際基金 

 

イッチー指さしコミュニケーションシート 
学生の皆さんのアイディアもとりいれながら観光編・医療編を英語・ポルトガル語・韓国語・スペイン語・中国語・ベトナム語の6カ国で作成しました。ぜひみなさんも活用してみてください。以下のページからダウンロードできます。

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