株式会社ヘソプロダクション
稲本ミノル社長
2025年開催の「Expo2025 大阪・関西万博」では500種以上のミャクミャクグッズを手掛け、話題をさらったクリエイティブ集団、ヘソプロダクション。次々とユニークなアイデアが飛び出す、社長の稲本ミノルさんの頭の中を覗かせていただきました!
まずは、どんな会社か教えてください。
“やりたいこと” で世界を切り開く
雑貨×菓子の融合企画会社
主には雑貨からお菓子まで、商品を企画して販売している会社です。お客さんから「作ってほしい」と言われたものを企画して作るだけでなく、商品の流通まで行ったり、空間のプロデュースを行ったり、何か問題解決をしてあげたり、自分たちで仕掛けていきながら何でも屋さんという感じで幅広くやっています。
稲本社長はどんな高校生でしたか?
高校球児でありながら
ポエムを書くような空想好き
甲子園を目指している高校球児やったんですけど、昼間の授業中はポエムを書いたりしていて。活発な部分と空想するのが好きで夢見がちな二面性がある子やったから、クラスでは不思議なやつと思われていたかもしれないです。たまにバンドやってる友だちから頼まれて歌詞を書いたり。やんちゃな子らとも仲良くするし、真面目な子たちとも仲のいい、バランスのいい子やったかな。部活の後輩ともよく遊んでいましたし、普通に恋もして、高校生活を楽しんでいました。
高校時代に夢中になっていたことは?
高3の夏が終わるまでは毎日部活の練習ばかりしていたので、それが終わって残りの高校生活が少ないことに気づいてからは、友だちと一緒にいる時間を大切にしていました。僕は子どもの頃から作家になりたいと思っていて、当時僕は秋元康さんに憧れていたんです。
きっと高校生の皆さんにとってはAKB48などのプロデューサーのイメージがあると思うんだけど、当時の秋元さんは美空ひばりさんの曲の歌詞を書いたり、その一方でテレビ番組を手掛けたり、マルチな才能で活躍されていて。母親に「秋元康に弟子入りしたい」と言ったら笑われましたけど、おそらく当時から “表現者” になりたかったんだと思います。だから詩を書いてみたり、脚本を書いたりしていました。
高校時代の文化祭の思い出は?
脚本を書いてクラスで取り組んだ
吉本新喜劇がお客さんに大ウケ
高1の時はオリジナルの吉本新喜劇をやったんですが、自分で脚本を書いて、鉄板のギャグは入れながらも新しいストーリーを考えて、配役をクラスのみんなで考えて、毎日練習してました。女子には「なんで新喜劇!?」って抵抗されましたが、そこはなんとか説得して(笑)。それがお客さんにウケてすごい嬉しかったですね。高3の時は鉄棒にぶら下がったり壁を上まで上がったり、テレビ番組であるようないろんな競技を用意して、みんなが主役になってレースしていくみたいなのを企画して。コメンテーターや実況する人もつけて、「次は何時から何処でやります」と場所も変えながら。そんな変なことをしていました。
その経験が今につながっていたりしますか?
つながっているかはわからないですが、人を楽しませたりエンターテインメント的な考え方は当時からしていたのかなと思います。学生の頃って目立つ子は目立つけど、スポットが当たらない人って出てくるでしょ? だからどうすれば全員にスポットが当たって個性が出せる機会を作れるだろうということを考えていました。
もし社長が今高校生で、文化祭の模擬店でたこ焼き屋さんをするなら、どんなお店にしますか?
もし許されるなら、たこ焼き器をたくさん用意して、具材もいろいろ用意して、お客さんに自分たちで焼いてもらうのがいいんちゃうかなと思います。今って体験型が求められる時代なので、僕ならどうすればお客さんの思い出になるだろうという観点で考えていくかな。意外と大阪でも若い子だとたこ焼きを自分で作ったことがないという子がいるんです。
大阪・心斎橋にあるフエキショップは、自分の好きなカラーの容器を選んでそこに自分でソフトクリームを作ってもらえるようにしているんですが、それも同じ発想です。「うまくできた」「できない」といったコミュニケーションが生まれるのがいいんです。


稲本社長のお気に入りの大阪万博グッズ3選は?
トランプ大統領に届いた貯金箱
ハンディファン・砂時計
全部思い入れはあるんやけど、やって良かったなと思うのはこの3つです。まずはやっぱりトランプ大統領に届いた金の貯金箱(ソフビちょきんばこ)。次は夏の時期しか売れないだろうけどこれを持ってみんなが会場を歩いてくれたらいいなと思って挑戦して作ったハンディファン。そしてカップ麺のふたの上に置いて3分計れる砂時計(砂時計付きカップ麺ストッパー)。生活の中に自然にミャクミャクを溶け込ませたいという思いで、開発に時間もお金もかけて作った商品です。
ミャクミャクグッズをヒットさせるために、どんなことを考えましたか?
それ、よく聞かれるんですが、まずヒットさせようとかはまったく狙っていないんです。どういうものを作ってあげたらみんなは喜んでくれるだろうと考えて、きっとディズニーランドやUSJのように万博がテーマパーク化された時には、身につけられるようなグッズが欲しいかなとか。でも開催期間が半年しかないから、作る側はみんな怖いんだよね。例えばこのハンディファンを作ろうと思えば開発費で4〜500万円ほどかかるから、そのリスクを取ってでも会場が盛り上がったり、来場者が面白がってくれたらいいなという気持ちで取り組んでいました。
稲本社長の目に最初ミャクミャクはどう映った?
「めっちゃ面倒くさいキャラ!」
でも “違和感” はヒットにつながる
僕はみんなが言うように気持ち悪いとかより、ものづくりの視点から「めっちゃ面倒くさいキャラが出たな」という感じでした(笑)。立体的にするのも難しいし、目もいっぱいついていて、しかもバラバラの位置やし、後ろ見たらしっぽあるし! みたいな。実際、監修が厳しくて目の位置は細かく直されました。でも僕は違和感のあるもののほうが人に刺さると思っているんです。すっと受け入れられるものって普通だからそれほどヒットしないというか。違和感があるものがなじんでくると “なんか可愛い” ってなるんですよね。
違和感が良い方向にいくんですね。
ザワザワっとしないと足を止めて触ってみようとは思わないでしょ? 視覚的なギャップとかネーミングのギャップとか。違和感には「いい違和感」と「悪い違和感」があって、僕はいい違和感を与えたいと思っています。ヒットする商品は、売り出す前から人が手に取っているイメージや1年後までにこうなっていくというイメージが具体的に湧くんです。それは経験値だと思うので、同じような仕事を目指している人がいれば、まずは小さなことでもいいから、売れる成功体験を積み上げていくといいのかなと思います。
アイデアはどんな時に思い浮かびますか?
アイデアは大喜利のようなもの
それほど苦しむものではない
どんな時に、というより、アイデアはお題をもらってすぐに出せるのがプロだと僕は思っています。大喜利は、お題が出てその場で答えるから実力が試されて面白いと思うんです。それと同じで、その場でひらめくという感じです。
僕の場合は同時に100個くらいの企画を考えていて、“とことん考えて行き詰まったら放り投げる、考えて行き詰まったら放り投げる” を繰り返していたら、ふとした瞬間に自分の頭の中にスコンと良い案が降ってくることがあります。それは考える訓練をしていれば誰でもできることだと思っているんだけど、大事なのは考え抜いてから放り投げることなんじゃないかなと思っています。
誰もやったことのないことをする面白さはありますか?
リスクが自分に
跳ね返ってくるからこそ面白い
「道なき道を行く」って大変やと思うでしょ? きっとみんなは人と一緒のほうが安心感があると思うんだけど、僕は人の作った道を歩きたくないみたいなところがあるんです。だからこの先にどんな景色があるんだろうと思いながら、道なき道を進むことを楽しめるんだけど、これは人によるからね。僕は “手応えのある人生を歩みたい” と思っていて、起業して会社をやっているのも、リスクが自分に跳ね返ってくるのが面白いんです。リスクがないところには手応えを感じないので、あえてリスクのあるほうへ行っている気がします。仕事でも人生でも、選択しないといけない場面があれば、“しんどいほう” を選ぶようにしています。そのほうが絶対に後で自分が後悔しないから。
人と違うことは怖いなって思っちゃいます…。
僕は若い頃、例えば人を好きになった時に、どうして「好き」とか「愛してる」と言わなきゃいけないんやろうと思っていたんです。自分の高なる気持ちを、なんで人が作った言葉を使って表現せなあかんねんって。なんか借り物な感じがするのが嫌で。人生のうちでいつか新しい愛の表現を見つけて、自分なりの言葉で伝えられたらいいなと思っていました。
夢を叶えるために大切なことは何だと思いますか?
自分の描いた夢に
ちゃんと日付が入れられるか
やりたいと思うことがあるなら、とことんやりきることだと思います。僕も叶えたいビジョンがあれば、そのビジョンは強烈に思い描きます。大事なことは、“自分の描いた夢にちゃんと日付が入れられるかどうか”。例えば2030年何月何日に叶えるなら、時間はあと4年、今の自分はどうあるべきなのか、逆算してスケジュールを書くことができます。そうやって未来を想像する力のある人が目標を叶えるんだと思います。
自分が面白いと感じるか
仕事を選ぶ時は、自分が面白いと感じるか感じないかを大切にしています。だから “面白くないな” と思えばしないし、自分の心の声には素直に従っています。。
魅力ある人になる
魅力ある人間が魅力ある商品を作れるし、魅力ある仕事ができると思っているから、自分も魅力ある人間になろうと思って常に努力しているところはあるかな。よく「天才」みたいに言われるんですが、仕事は決してひとりではできなくて、従業員やお客さん、買ってくれる人がいるから作ることができるので、「感謝と謙虚さを忘れたらあかん」ってことは社員にもよく言ってます。
楽しくあろうとしている
どんなことをしていてもどうしても壁にはぶち当たるし、仕事が辛くなることもあるんやけど、真正面から見れば辛いことでもそれを斜めからとか下から見れば意外と楽しいことだったりするんです。企画する人間である以上、発想の転換でネガティブな状況をいかに楽しくするかという目線はいつも持っています。

高校生へメッセージ
学生のみんなに伝えたいのは、決めつけずに「固定概念を取っ払おうぜ」ということかな。決めるというのは自分の可能性を狭めることだと思うから。僕も25歳くらいで作家としてデビューしたけど、それでは食べていけずにまたサラリーマンをしてみたりして、今の自分がいます。今何をしたいかまだわかっていないなら知識を身につけたり、いろんな人と出会ったりして、何かをしたいと思った時に動き出せる準備だけしておくといいと思うし、自分の心の声に素直になるのがいいと思います。あと自分を俯瞰して見る力も大切で、離れて見てみると「自分ってバカだな」ということも見えてくるし、視野が広がっていろんな考え方ができるようになります。好きなことがいつか仕事になって、個性を生かしながら成功してくれる若い世代が増えたらなと思います。
取材を終えて
りん(高3)
私も人を喜ばせることが好きで、文化祭実行委員会や生徒会で企画する機会が多く、企画マーケティングの道に進むことを選びました。稲本社長の固定観念に縛られず、「とりあえず面白いことはやってみる」という熱意と行動力を忘れずにいきたいと思います。
そら(高3)
どうしても目先の利を見て限られた中でできることを考えてしまいがちですが、お客様が喜ぶことを第一に考えることで、最終的にはより多くの利益を生み出すのだと感じました。私は大学でマーケティングを学ぼうと思っていますが、“喜ばせたい”という気持ちを忘れずにいたいなと思います。
ゆうか(高2)
社長は自分がネガティブになっている時でも自分自身を俯瞰で見て、“ネガティブになってる自分オモロいな”と思ったり、どんな状況でもどうすれば楽しめるのかを考えていらっしゃいました。私もこれから落ち込むことがあれば、それさえも楽しんで自分の道を作っていこうと思いました。
みなほ(高1)
社長の「二択ではしんどいほうを選ぶ」というお話が印象に残っています。また、自分が“オモロい”と思うことをやって、それをわかってくれる人に商品を買ってもらいたいという姿勢がとてもカッコいいなと思いました。多くの高校生にこの記事を読んでほしいです!








