「青春ロックを追い続ける」カネヨリマサルの「突き動かされたその先で、高校生に見つけて欲しいもの」

大阪を拠点に活動するガールズ3ピースロックバンド・カネヨリマサルにインタビュー! 3rd Mini Album『突き動かされてく僕たちは、』には、聴く人の心を突き動かす青春の感情がびっしりと詰め込まれていました。

制作時の気持ちを繊細に思い出せるくらい
心が突き動かされた3rd Mini Album

2016年に生まれた『南十字星』を今、音源化した理由はなんですか?

ちとせ この曲には「まだ夢を叶えられていないけど、何とかすがって頑張っていきたい」という気持ちが込められています。インディーズバンドとして活動している自分たちにとって、今が1番タイミングが合っていると思い、音源化に踏み切りました。

間奏にはカネヨリマサルさんには珍しいセリフが入っていますね!

ちとせ 曲を作った当時からセリフを入れていました。間奏にもギターソロなどではなく、曲の意味が伝わるようなヒントやかけらを散りばめたいと思っていたんです。

『南十字星』の「私のここのドラムやベースを聴いて!」というオススメポイントは?

いしはら サビ終わりのギターとベースのアルペジオ(1音ずつ順番に連続的に発する演奏方法)でベースがメロディーみたいになるところは、『南十字星』でしか出せないベースラインなので、ぜひ聴いて欲しいです!
もりもと 私が加入するずっと前からあった曲なので、前のドラムさんから代々引き継いで3回レコーディングしているのですが、その度にちょっとずつドラムも変わっていて。でも、大サビのフィル(即興的な演奏を入れて変化をつけること)は、前のドラムさんのパワーが感じられるフレーズなので、そこを聴いてください!

作詞作曲はちとせさんが担当されていますが、編曲はいつもどのように行っていますか?

いしはら 曲によって異なるんですけど、ちとせがギターと歌だけの音源を事前に送ってくれたり、3人でスタジオに集まっているときに、ちとせが「こんな曲できたよ」って共有してくれたりするので、そこから3人で楽曲を形にしていくことが多いですね。最後までインスピレーションで楽曲が完成することもあれば、それが行き詰まることもあるので、その時はみんなで演奏しながら考えます。

『いつもの』のMVでは電車やトロッコで演奏していて驚きました!

もりもと トンネル前で演奏するシーンを撮っているとき、ヒルがたくさんいたんですよ!初めてヒルを真近で見て怖すぎました…。ドラムセットにもよじ登ってきて、ずっと靴の中にもヒルがいるような気がしてたまらなかったです。他のメンバーやスタッフさんはヒルに噛まれました。
ちとせ 当日は雨が降っていて、髪や服が濡れたけど、それも味になってよかったと思います。
いしはら トロッコは今まで乗ったこと無かったので楽しかったです!
ちとせ 普通は入れない車掌さんの席にも座らせてもらったね。

『春』のMVのYouTubeのコメント欄はみんなの思い出がいっぱいでした。

ちとせ 自分が生きてきたヒストリーを曲にして作ったけど、それが音楽を通してみんなのものになっていることが、コメントから伝わってきて嬉しかったです。バンドや音楽を続けてきてよかったってめちゃくちゃ思いました。

『ネオンサイン』の「ネオンサインの表札の家」の意味が気になりました。『南十字星』でも「ネオン」が登場していますが、「ネオン」推しなんですか?

ちとせ 『南十字星』も『ネオンサイン』も「ネオン」を入れようと思って曲を作ったわけではないので、たまたまですね。でも「ネオン」に心を動かされたことがありました。実は「ネオンサインの表札の家」を実際に見たことがあるんですよ!こんな家なかなか無いから興味深かったんですけど、自分が好きな人と一緒やったら「ネオンサインの表札の家」も住みたいと思えるなぁって。

『今日の歌』はアニメ「Sonny Boy」の劇中曲になっています。お話をもらったときはいかがでしたか?

ちとせ 私が最初に電話をもらって知ったんですけど、劇中曲は夢の夢だったんで、ただただ嬉しかったです。「早く2人に言わな!」と思っていました。

劇中曲ならではの曲作りで意識したことはありますか?

ちとせ 台本をもらってから曲を作るという書き下ろしを初めて経験して、自分の好きなタイミングで好きな物事を書くのではなく、自分が知らなかったものを取り入れて自分の曲にすることは勉強になりました。でも、自分以外の誰かの気持ちではなく、ほんまの自分の気持ちで曲を作りたかったので、台本を読んで自分が共感したところや気づきを曲にしました。

様々な葛藤が詰まった『本当はどうでも』をアルバムの最後にもってきた理由を教えてください。

ちとせ 歌詞が割と暗くて、ほんまに自分の苦しみをさらけ出している曲なんですよ。前を向きたい自分と、全部やめて逃げ出したい弱気な自分の2人を描きました。楽曲が完成したときは、素直な自分を表現して成長できた嬉しさがありましたね。メンバーの2人も気に入ってくれたので、アルバムの最後は心をぎゅっとできる曲がいいと思い選びました。

お2人も気に入っていたんですね。

もりもと むちゃくちゃ忙しくて、いろんなことが一気に押し寄せてきた時期に、みなさんがこの曲を持ってきてくれて、自分も励まされました。カネヨリマサルの音楽を聴いてくれている皆さんと同じように、私も自分たちの曲をめちゃくちゃ聴いています(笑)

アルバムタイトル『突き動かされてく僕たちは、』の由来はなんですか?

ちとせ いつも心が突き動かされて曲を作るんですけど、特に、今回のアルバムに収録されている6曲は、制作していた時の気持ちを繊細に思い出せるくらい、心が突き動かされていました。私は音楽の道を進んでいますが、突き動かされて生まれた曲たちがそこで立ち止まるのではなく、皆さんの心も動かせたらいいなと。生きることに対して、何か背中を押したいと思っているので、皆さんにも突き動かされたその先で、自分の目標を見つけていただけたら嬉しいですね。

何に突き動かされて「青春ロック」を追い求めていますか?

ちとせ 私は悔しさと憧れで音楽ができているのかもしれないです。
いしはら 私が原点として大事にしているのは、好きという気持ち。中学生で出会って、「誰に何を言われても、たとえ1人になっても、絶対に追いかける」くらい、バンドが大好きなので、その時の気持ちにずっと突き動かされている気がします。
もりもと 中学校卒業の頃にバンドを好きになったのですが、ライブで見たアーティストさんや軽音部の先輩がステージでキラキラしていてカッコよくて、「自分もああいうふうになりたい」という憧れがありました。それから、どのようなステージがカッコいいかをずっと考え続けて、今に至りますね。

インスタの開封動画を見たんですけど、アーティストさん自身の開封動画が新鮮でした。

いしはら 喜びを共有したくてつい(笑)。私たちはCD自体にもこだわりを持っていて、ジャケットもブックレットすべて込みで1つの作品だと思っているので、CDを手に取って欲しいという思いを込めて動画にしました。

自分の意見を言い出せないことは、
周りに気を遣って、心が優しい結果

青春を追い続けている皆さんはどのように歳を重ねたいですか?

ちとせ それは何時間でも語れるなあ(笑)
もりもと 1st Mini Albumの『恋人』を聞くと、周りは結婚したり、夢を追いかけたりしているのに、自分はまだ高校生のまま止まっているような感覚になってしまうことがあります。でも、私は自分の道をゆっくり地道に進んでいて、誰とも違う人生を歩んでいると思うので、後ろ向きではなく、一歩ずつ良い大人になっているんだと意識しながら、歳をとっていきたいですね。
ちとせ めちゃくちゃええ話、この後言うの大変やなあ(笑)
いしはら 中学生の時からバンドの人生しか考えていなくて、もはや夢ではなく、「自分の人生はそうなんや」って漠然と思いながら生きていました。他にも楽しいことはたくさんあるけど、自分の好きなことができている人生なので、これからも好きなことを続けて後悔なく生きていきたいです。
ちとせ 青春は若い時を指すことが多いですが、私はおばあちゃんになっても毎日、青春のキラキラを探す生き方を続けたいですね。

3人で活動していく中で決まり事はありますか?

ちとせ 口約束で決めていることは無いんですけど、3人で活動していくバンドなので、お互い自分の意見を言い合える関係でおりたいなって思いますね。

人間関係に悩む高校生も多いと思うので、アドバイスお願いします。

ちとせ 自分の意見を言い出せないことは、周りに気を遣ったり、心が優しかったりする結果やと思います。それをマイナスに捉えるのではなく、「ここなら言える!」と思える環境がいつかきっと作れるので、焦らず生きていくことが大切かなと思っています。

憧れのアーティストに
「追いかけさせてくれてありがとう」

今月の特集「高校生の思い出の残し方」
1番印象に残っている3人の思い出は?

ちとせ

さなちゃんが入ったとき!

ちとせ さなちゃんも、加入当初は自分を出せず気を遣っていたと思います。でも活動を続けていく中で、私自身「さなちゃんは自分たちと同じ匂いがする、同じ人間だ」と思えた嬉しさがあって、この3人でやっていくんだと実感しました。初めて全国流通のCDを発売したときも、3人の歴史が深く刻まれた瞬間で、いつもCDを買っていたタワレコに自分たちのCDが並んでいたことも嬉しかったなぁ。

いしはら

バンドを組んで1年目のオープニングアクト出演!

いしはら 自分たちが今所属しているレーベルの社長の大きなイベントでした。当時は誰からも知られていなくて3人で震えながらも、なぜか上手くいく気がして楽しくなっちゃって、「バンドしてる!」って実感しました。あの場所に呼んでもらえたことが夢みたいで、期待を感じて嬉しかったですね。

もりもと

東京に初めて行ったとき!

もりもと 「TOKYO CALLING」に毎年出演していますが、初めは車もなくキャリーケースを引きずって夜行バスに乗って行っていました。当時は今より全然忙しくなかったけれど、その時はその時で精一杯生きていたなと、東京に行くたびに思い出します。

高校生のうちにやっておくべき思い出の残し方を教えてください!

いしはら 写真など形に残してはいないんですけど、「何でもない放課後にどれだけみんなと一緒にいたか」が大事やと思うんですよ。学校祭などイベントも素敵だけれど、放課後にいつも仲の良い子と深く話し込んだことを今でも思い出しますね。だからみんなも家に帰る前に友だちと喋って欲しいな!

高校時代、「こんな大人になりたい!」など憧れの人物などはいましたか?

ちとせ 「チャットモンチー」「BUMP OF CHICKEN」「The SALOVERS」 がずっと大好きで、まだバンドを結成していなかったけど、将来絶対、この人たちと対バンして握手したいなと思っていました(笑)
もりもと 私は、高校生の時の将来の夢がアーティストではなくて、編集者に憧れて大学を選びました。バリバリのキャリアウーマンになりたかったんです(笑)
いしはら 私は「BUMP OF CHICKEN」 のベースの直井由文さんがすごく好きで、とにかく尊敬!敬愛!の存在でした。高校時代から「ベースという楽器で生きている人」「ステージでキラキラ輝いている人」の生き方がかっこいいなと思っていて、「アーティスト」という存在にずっと憧れていましたね。

実際に憧れのアーティストになった今の気持ちはいかがですか?

いしはら アーティストは奥深いですよね。どこまで求めても近づけなくて、追いかけ続ける存在やと思うんです。だからこそ「追いかけさせてくれてありがとう」といつも思っているので、いつか自分も誰かにそう思ってもらえるようになれたら嬉しいです。

最後に、高校生へカネヨリマサルさんの音楽やライブの楽しみ方を教えてください!

ちとせ 初めてライブハウスに来るという人も増えてきて、最近はいろんな心配事もあると思うけど、自分の好きなように私たちの音楽を受け取ってくれたら嬉しいです。私たちは好きな音楽を大切なライブハウスで披露できることに感謝しているので、みんなも何も心配せずにライブ楽しんで欲しいなと思います。

カネヨリマサル

「青春ロックを追い続ける」 大阪を拠点に活動するガールズ3ピースロックバンド。TOKYO CALLING、SOUND CRUSING、JUNE ROCK FESTIVAL、FREEDOM NAGOYA rockin’on presents「JAPAN’S NEXT渋谷JACK」 等の様々な大型サーキットイベント、野外フェスティバルに出演。10/6(水)に発売した3rd Mini Album『突き動かされてく僕たちは、』には、TBS「よるのブランチ」エンディングテーマ『南十字星』や、TVアニメ「Sonny Boy」劇中曲『今日の歌』などが収録されている。

DISC INFO

now on sale
3rd Mini Album
『突き動かされてく僕たちは、』
1600円+税

LIVE INFO

カネヨリマサル 3rd Mini Album リリースツアー2021-2022 “息継ぎをする”
11月25日(木)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE SOLD OUT
11月26日(金)金沢GOLD CREEK
12月3日(金)京都MUSE SOLD OUT
12月4日(土)静岡UMBER SOLD OUT
12月15日(水)名古屋APOLLO BASE SOLD OUT
2022年1月10日(月)心斎橋JANUS
2022年1月28日(金)渋谷CLUB QUATTRO