LINE MUSIC舛田社長に聞く、「LINE」誕生時の話~トンデモなく規格外の学生時代まで!

LINE MUSIC

北海道版・関東版・東海版・関西版・中国版・九州版
ちほ(高3)・みく(高3)・りん(高2)

LINE MUSIC株式会社 舛田 淳社長

今や私たちの生活に欠かせない「LINE」を誕生させた事業責任者であり、
現在LINE社の取締役でありながら、LINE MUSICを率いる舛田 淳社長に、
お話を伺いました!


どんな会社か教えてください!

世界から取り残されていた日本で
ストリーミング(※)を主流に

※定額制聴き放題

LINE MUSICは、大きな使命を持っている会社です。日本はCDが売れている唯一の国と言われ、世界では今、音楽は“所有する”から、“アクセスする”ものに変わり、月額のストリーミングサービスで音楽を楽しむことが主流になっています。

日本はある意味取り残されてきたのですが、CDが売れなくなってくる中、この流れを変えるためにLINEとソニー・ミュージックエンタテインメント、エイベックス・デジタル、ユニバーサル ミュージックが一緒に立ち上げたのが、LINE MUSICという音楽サービスです。

6月に4周年を迎えましたが、ストリーミング市場は年々拡大していて、ようやく日本にもストリーミングの波がきています。

学生時代は
どんなタイプでしたか?

人と違う遊びを考えて
周りを巻き込んでいく子だった

話題の中心にはいるんだけど、人見知りでもあって盛り上がっている人たちがいても、そこに「入れて」とは言えず、自分で違う遊びを考えたりするような子でした。それをおもしろがって人が集まってくれたら嬉くて。

小学生の頃から視点が少し引いた視点で見ていて、精神が大人だと言われていたみたいです。例えば新任の先生が入って来て生徒たちがまとまらなかったりすると、先生が授業を進めやすくなるように自分から調整するような。あとは学校中にインターホンを張りめぐらせて、いつでも友だちを呼べるようにしたり…私にとっては、そういうことが遊びだったんです(笑)

人がどんなことで困っているかを探して、自分が入ることでその課題をどう解決できるかを考えることが好きでした。自分だけでは足りないと思えば友だちを誘ったり。私がよく「巻き込み力がすごい」と言われるのは、当時から変わらない性格なのかもしれません。

高校時代は
どんなことを考えてた?

学校を辞めたことをきっかけに
自分に何ができるのかを探し始めた

私の学生生活は、まったく参考にならないですよ(笑)。高校は1年しか行っていないんです。勉強は嫌いではなかったんですが、新設校の特進科に入ったら自分に合わず、毎日近くの映画館で映画を観てから学校に行くような生活をしていて。

自分でもこれでは高校に通っている意味がないなと思っている時に、先生から「辞めてもいいんだぞ」と言われ…私は友だちが多くて良い意味でも悪い意味でも影響力があったんですね。先生はもちろん私を奮起させるために言ったんだと思うんですが、私は「良いことを聞いた! そんな考えはなかった!」と、むしろ「ありがとうございます!」という気持ちで、その場で悪気もなく、学校を辞めてしまいました。

うちの両親もちょっと変わっているので、自分が決めたのなら、ということで、そのまま高校は辞めて。そこからはひとりで生きていかないといけないと思ったので、住み込みで働けるところを探して、いろんな仕事を体験させてもらいながら自分に何ができるのかを探しました。その後、もっと世界を広げてみたいなと思って、大検(現・高卒認定試験)を受けて、大学に入ったんです。

「LINE」誕生の時のことを
教えてください!

「流行らない」「おもちゃ」と言われ
大人たちからは認められなかった

「LINE(=線)」には、人と人や人とサービスを繋ぐ“ホットライン”、“プラットフォーム”という意味があって、皆さんの生活を24時間365日サポートしたいという思いはリリース当初から込めていました。今では日本国内で8,100万人ほどの月間利用者がいますが、インターネットの歴史上、こんな数字を出したサービスはないので、作った時にはLINEが将来どうなるかなんて、私にもわかりませんでした。はじめの目標は半年で何とか100万人ユーザーを獲得しようとしていたくらいですから。

ただ、こういったテンポの良い、感覚的なコミュニケーションってそれまでなかったんですよね。私たちLINE社の経営陣は、コミュニケーションのサービスはスマホでも必ず流行ると信じていましたが、特に大人の男性からは「こんなものは流行らない」「おもちゃだ」と言われていました。ユーザーが1,000万人を超えて日経新聞に大きく出た時、その人たちもびっくりしてましたけど(笑)

大人になると新しいことを自分でやらずに頭で考えて拒絶してしまいがちですが、私は法律を犯したり親に迷惑をかけること以外は、全部自分で試してみることが大切だと思っています。自分に何ができるかなんて、わからないですから!

LINE MUSICのサービスには
どんな思いがあるの?

“聴き放題”の形態で
多くの音楽に出会って欲しい

実はLINE MUSICは「やる」と何回も発表しているんです。発表する度に何か問題が起こって実現できなかったんですが、CDの売り上げが落ちてくることはわかっていたので、アーティストが音楽を作っても誰もお金を払わないという状況は避けたいと思い、音楽の未来のためにもやらなきゃいけないことだと思っていました。

特に若い子たちには、1枚ずつCDを買って好きなアーティストの曲だけしか聴かないのではなく、“聴き放題”の形態でもっと多くのアーティストに出会う体験をして欲しい。若い子たちに音楽を聞いてもらうのは音楽の未来だと思っています。そのために学割サービスも作りました。

Music FMなどの違法音楽配信アプリを
どう思ってますか?

アーティストに入るべきお金が
1円も入らなくなってしまう

ネットの意見を見ていると、無料で聴けることは、音楽が広がることになるからいいのではないかという声もあるようですが、決してそうではありません。違法アプリを使ってしまうと、本来であればアーティストに入るべきお金が、1円も入らなくなるんです。これでは音楽の未来はありません。

私たちも実際に調査して、違法アプリを使っている人の多さに驚き、今業界が立ち上がって違法アプリに対する働きかけをしています。もちろん私たちもLINE MUSICに入っていない音楽がなくなるよう、アーティスト側にも考え方を変えてもらえるように、努力をしていく必要があると思っています。

その若い感覚や世の中の情報は
どうやって収集しているの?

“好き”という気持ちが
自然とアンテナの感度を高くしている

若い世代に対してだけ情報収集をしているわけではないんですが、世の中でどういうものが流行っているのかとか、それを聴くファンの人はどんな気持ちなんだろうとか考えるのが好きなんです。

ツイッターも見ますし、インスタもフェイスブックも、TVもよく見ます。お店に行けば周りのお客さんがどんなものを頼んでいるのか、電車の中ならどんな人がスマホを見ていて、どんな人がトレインチャンネルを見ているのかなどを見ています。そういうアンテナの感度は、意識的にというより、好きだから自然と高くなっているのかもしれません。

社長のLINE MUSICの“推し”のサービスは?

やはりLINEとの連携ですね。プロフィールやトークルームにBGMを付けられるようにしているのは、これも自己表現のひとつだと思っています。新しく友だちができた時に、その音楽の話題から入れたり、恋人同士のトークルームでふたりの思い出の曲を付けたり、コミュニケーションの中に音楽を埋め込めるのは、LINE MUSICの一番の推しだと思います。

あと他のサブスクリプションサービスのプレイリスト画面をスマホで撮るだけで、LINE MUSICで同じプレイリストが自動的に作れるという新機能が、秋頃には開始される予定です。

    舛田社長が心掛けている3つのこと

  1. 楽しく仕事をする!

    仕事は楽しいものなんです。どんなに頑張っていても、辛そうにしていたらあまり意味のない時間だと思うので、最後は楽しむ、というのが、私たちLINE社が定めている働き方の「LINE STYLE」でもあります。

  2. 勇気を持つこと

    今考えを変えるとこれまでの努力が無駄になる、という場面ってあると思うんです。でも私たちは、数年かけて99%までサービスを作っても、この先成功する絵が描けない場合には、止める判断をすることがあります。変化を恐れない勇気を持つことは大切です。

  3. チャレンジすること

    チャレンジをして失敗したとしても、何度でもやり直せます。私自身、これまで何個のサービスを作って、失敗してきたかわかりません。でも世間は「LINEの舛田淳」という目で見ます。失敗は自分の中には残りますが、周りは成功したことしか覚えていません。大事なことは、悩んだり落ち込むことより、選択肢を出して、“決める”ことです。

仕事に欠かせないアイテムは?

スマホ

舛田淳

舛田社長

私はパソコンでできることも、あえてスマホでしています。たまにパソコンを持っていると、社員が「どうしたんですか!?」と驚くほど(笑)。スマホでやってみて自分が使いづらいなと思った部分って、今後解決するべき課題なんです。
舛田 淳Jun Masuda
’08年10月にNAVER Japan(現LINE)に入社。’12年1月、グループの経営統合に伴い、NHN JapanのNAVER・livedoor・LINEの事業戦略・マーケティング責任者として執行役員/CSMOに就任。’13年4月、LINEに商号変更。LINE取締役 CSMOに。’14年12月、LINE MUSICの代表取締役に就任。’17年9月にはLINE TICKETの代表取締役にも就任し、現在に至る。