「自分が挑戦していないと“頑張れ”とは言えない」異色な経歴を持つ守谷日和の芸人までの道のり

新型コロナウイルスの影響により初の無観客で開催となった「R-1ぐらんぷり2020」決勝戦へ初進出を果たした守谷日和さん。早くも来年のR-1優勝を目標にネタ作りに励む守谷日和さんに高校時代のお話、芸人になるまでの意外な道のりについてchスタッフがお聞きしました!

いじめにあった高校時代
救ってくれたものとは?

お笑いライブに出演されている守谷日和さんを拝見するといつもすごく明るくて、他の芸人さんから愛されて囲まれている印象があります。高校時代、友だちは多い方でしたか?

守谷 そっか、高校時代ね。ちょっとややこしいけど大丈夫かな? (笑)。昔からこの性格なんですけど、高校時代にちょっとだけいじめられてた期間があったんです。クラスメイトに愛がある人とない人がいて、愛のない人がすることはいじめになっちゃうんですね。それでそっちがだんだん増えてきてしまって。でも、学校は1日も休まなかったんですよ。

そんな状況だったのになぜ学校を休まず登校できたのですか?

守谷 たぶん僕の才能なんですけど、嫌なことは寝たら忘れられるんです。寝たら次の日の朝は楽しくなってる。それと、家に帰ったらいつもお笑い番組を観てゲラゲラ笑って過ごしていたので、お笑いにはかなり救われました。最終的にはいじめてきた子らと仲良く卒業しました。

どうやって仲良くなったのですか?

守谷 ある日いじめの首謀者が1週間停学になったんです。その間一緒になっていじめてた他のヤツらが僕に話しかけてくるようになって、気付いたら1 週間後にはいじめが自然消滅してました。それからその首謀者ともめちゃくちゃ仲良くなって、高校卒業してから4年後に一緒にNSCに入ったんです。在学中1年間はコンビも組んでました。その子はもうお笑いを辞めちゃったんですけど、今も連絡をとって仲良くしてますよ。

この世界覚悟しかない
魂から作らないと人の心には絶対届かん

芸人さんになる前は潜水士をされていたんですよね?

守谷 海の中に潜って仕事をする人を全般に「潜水士」って呼ぶんです。規約があって言いづらいねんけど、某SJの某ーズで裏方を2年半してました。って、バレバレですね (笑)

某SJ! (笑)。潜水士とお笑い芸人という2つの夢はいつ頃から抱いていたのですか?

守谷 小学校の頃から芸人になりたくてしょうがなかったんですが、高校の途中でイルカの調教師になりたくなって、卒業後、スキューバダイビングの専門学校に入学したんです。そこで潜水士の資格と船舶免許を取得して、カリキュラムにあったダイビングもやりました。同時にドルフィントレーナーを目指すための研修で静岡の水族館に10日ほど行ってたんですが、ホームシックになって家に帰ってしまったんです。その後なぜかその水族館から就職のお誘いをもらうのですが、ちょうど某SJがオープンして働けることになって。芸人をやりたい気持ちもあったんですが、おもしろくない自分が芸人になるのが怖くて某SJで働くことを選びました。

そこから芸人さんを目指したのはなぜですか?

守谷 某SJがオープンしたての頃は機械のハプニングがいろいろとあって、それらを修理するのが楽しかったんです。だけど、それがマニュアル化されて何が起きても指標通りするのが正解になって。それで面白味を感じにくくなって2年働いて22歳になった時に、今お笑いの道に行かないと! と思って辞めました。

芸人さんになるまですいぶん遠回りをされた感じがします。

守谷 確かに。でも、将来自分の子どもが夢を見つけた時に、父である自分が夢を諦めて一度も挑戦してなかったら「頑張れよ!」って言える立場になれないなと思ったんです。

お笑いの世界は順調でしたか?

守谷 はじめは幕末てんぐというコンビを組んでたんですが、解散して2年ぐらいは芸人をやりたいっていう種火は残ってる状態で毎日アルバイトをして過ごしていました。

その状態からもう一度お笑いをやろうと思われたのはなぜですか?

守谷 同期たちが「辞めるなよ」って引き留めてくれたんです。アキナの山名くんは「芸人を続けるなら一緒に住もう!」、とルームシェアまで誘ってくれて。あと、放送作家のかわら長介さんの「覚悟しなさい」という言葉も大きかったですね。ピン芸人として再スタートして、かわらさんにネタを見てもらった瞬間、「お笑いナメてるんか!」「この世界、覚悟しかないから魂から作らないと絶対人の心には届かん!」って言われて。それで芸名を「ポートボール守谷」から「守谷日和」に変えて自分なりに覚悟を決めたんです。スベりに行ったれ! っていう気持ちで舞台に臨んだら、ほんまにウケて。それで今のひとりコントにつながりました。

守谷日和さんのお名前にはどんな思いが込められていますか?

守谷 “守谷” は本名、“日和” は美しい日本語やなって (笑)。僕の日常を見せたいっていう気持ちを込めて守谷日和と付けました。

ネタを作る際に意識されていることはありますか?

守谷 ネタは理屈では作れない。ひらめき待ちです。何をやっても上手くいかない僕の人生が蔑まれてるからネタのテーマは “蔑まれる” なんです。例えば病院なら全然名前が呼ばれないとか、嫌なことを想像しながら自分を掘り下げていってます。

舞台俳優としての顔も持つ守谷さんですが、舞台俳優としての目標はありますか?

守谷 「日本アカデミー賞」で最優秀主演男優賞を取りたいです。お前何言ってんねん状態なんですけど、「R-1」で優勝するっていうのも「お前何言ってんねん!」なんで、自分で思うくらいはいいかなって思って。

演じてみたい役はありますか?

守谷 悪役をやりたいです。例えば、殺人犯でサイコパス的なキャラクターで、表情も変えないセリフがないくらいの役がいいですね。それを僕が演じたらどうなるのか、笑ってまうやろなって (笑)

自分自身を信じてあげないと
誰も信じてくれない

新しい環境で友だち作りに悩む高校生読者もいると思うのですが、コミュニケーションの達人である守谷さんならではのアドバイスをお願いします!

守谷 僕はコミュニケーションの達人と思われがちやけど、めちゃくちゃ人見知りなんです。普段は怯えてますが、人の話を聞いてめっちゃよく笑いますね。人には恵まれてきましたけど、“こんなにハッピーな人がいてるんだよ~” って見つけてもらい待ちです。

コツはありますか?

守谷 舞台で誰にも笑ってもらえない時期が1年くらいあって悩んでいる時に、恥ずかしいと思うことも人前でやるようになったらウケたんです。たぶん自信だと思います。 「自信」 は “自分を信じる” と書くので、まず自分で自分自身を信じてあげないと誰も信じてくれないかなって。良いこと言うてます (笑)

守谷日和さん、本日はありがとうございました!


ゆうか(高2)、ゆみか(高2)、ときわ(高2)

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守谷日和moriyabiyori

守谷日和(もりやびより)
’80年10月26日生まれ
大阪府出身
NSC大阪校26期生

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