にしな「中高生の頃は自身のアイデンティティに悩んだ。でも“無駄はないよ”と今なら言える」

にしな

10月には『夜になって』、続いて11月19日公開、田中みな実さん主演の映画『ずっと独身でいるつもり?』の主題歌『debbie』(デビー)をリリースされた今注目の女性アーティスト・にしなさん。儚げな歌声と独特の歌詞世界について、高校時代のお話などにchスタッフが迫ります!

『debbie』は制作に苦しんだ時に
“守りたい気持ち”を思って書いた曲

にしなさんの歌は、歌詞と歌声が合わさった時の威力がすごいなと思っていつも聴いています。『debbie』はどんな思いで書かれたんですか?

にしな 曲を書いた時はまだ映画の主題歌のお話をいただく前で、ビル・エヴァンスというジャズピアニストの『Waltz for Debby』(ワルツ・フォー・デビイ)という楽曲を聴いた時に、“曲にしよう”と思って書いたんです。これは制作に苦しんでいたビル・エヴァンスがデビーという姪っ子に向けて書き、その後亡くなったと聞いて、私自身も苦しんでいた時期で、何かを作り上げる時の苦しみってあるなぁと思い、自分のことを見つめてくれる純真な存在、私の場合だと自分の中にある裏切りたくない純粋さだったり。それを守りたいけど苦しい、という部分を楽曲にしていきました。

映画『ずっと独身でいるつもり?』と曲に通じるなと思う部分はありますか?

にしな 映画の中で主人公たちの“孤独と向き合う姿”は、私にとっての楽曲制作と通じる部分があるんじゃないかなと思います。「望むがまま突き刺してよ 喜ぶように泣いてみせてあげる」という始まりの歌詞は、男女に限らず、誰かに嫌なことを言われた時など、それに言い返す強さもあるけど、それを受け止める強さもあるな、という思いで書きました。映画はもちろん、日常生活の中で誰にも通じる部分はあるかなと思うので、孤独を感じている人や孤独と向き合いながら戦っている人に聴いてもらえたら嬉しいです。

にしなさんの歌詞って、本当に素敵な世界観だなと思うのですが、歌詞はどんな時に書かれているんですか?

にしな その時々によるんですが、『debbie』の場合だと、感情的になった時に一気に書いて、少し時間を置いて冷静になってから客観的に人が聴いた時にどういう風に聴こえるだろうと考えながら整えました。歌詞は怒っている時…“わかり合いたい”と思うんだけどうまく伝えられない時に、ひとりになって書くことが多いですね。

言葉のストックは意識的にされているんですか?

にしな したいなと思いながらなかなかできずにはいるんですが、最近はよく詩集を読みます。今は川崎洋さんの詩集を読んでいて(とバッグから出して見せてくださりながら)、詩集って言葉が面白いので、歌詞を書く時にもつながる部分があるなと思っています。独自の世界というのを意識しているわけではないんですが、好きなものを集めていって、自分なりに形にしているのかなと思います。

好きなものというのは、音楽だけではなく…?

にしな そうですね。ファッションもそうだし写真もそうだし、全部が今の自分につながっていて。例えば「あの時、ボタンが好きで集めていたな」とか、「あの色が好きだったな」ということも、無駄なものはひとつもないなと感じるんです。もし今高校生に戻ったなら、遊ぶこともたくさんしたいですし、余分な部分にもたくさん触れていくことで、自分という形が出来上がってくるんじゃないかなと思います。

「無駄なものはない」はめちゃくちゃ心強いメッセージです。

にしな 私も振り返ると中高生の頃は自分自身のアイデンティティにすごく悩んできたので、少し先にいる私が伝えられることは、本当に「無駄はないよ」ということかなと思います。まだまだ今でも悩んでいるんですけど(笑)

ありがとうございます! 初めて歌詞を書いた時のことを覚えておられますか?

にしな 覚えています! 高校生の時だったのですが、恋愛ソングを書こうと思って、学校の机で消しゴムで何度も消したりしながらラブレターを書いているけど、渡せないから破って捨てて、雲にしましょう、みたいな歌詞を書いていました(笑)

自身のアイデンティティについて
悩み続けた高校時代

にしなさんは高校生の頃はどんなキャラだったんですか?

にしな 特に前に出るタイプでもなく、フワーっと誰とでも仲が良かった気がします。軽音部がなかったのでバドミントン部に入っていて、音楽は高校2年の頃に始めました。始めるのも遅かったし、自信はなかったので大学に進学して、音楽の道に進もうと決めたのは就職の前でした。

勉強と音楽ってどうやって両立されていたんですか?

にしな 高校生の頃は勉強の方が割合は大きかったです。それに当時はみんなに音楽をしていることを言っていなかったので、学校では普通にバドミントンをしていました(笑)

秘密にされていたんですか!?

にしな 恥ずかしがりで自分でもその道には自信がなかったので、少しでも茶化されたら続けられなくなりそうな気がしていて。だからちゃんと形になるまでは、友だちにも家族にも言わなかったです。家で曲を作る時も、小声でまったく誰にも聞こえないくらいの音量で…(笑)。大学生になって少しずつアカウントが知られ始めて、言うようになったという感じですね。

アーティストとして活動する中での難しさを教えていただきたいです。

にしな 始めてすぐは音楽でやっていきたいと思っても、誰も信じてはくれないし応援もしてくれない。私はどちらかと言うと周りの意見に流されやすいタイプで、それが自分でもわかっていたので、音楽をやっていることも否定されるとわかっている間は言えませんでした。そんな中で自分だけが自分を信じ続けることが難しかったです。自分の音楽が思うように広がらなくて、自分が自分を信じられなくなってしまった時は、何度か「やめちゃおうかな」と思ったこともありました。でも今は、自分を信じてこられて良かったなと思うし、それが一番大切なことだったかなと思います。

この先、どんなアーティストになりたいと思われていますか?

にしな 今は23歳の自分から見える世界を切り取って歌っていきたいし、歳を重ねてその先の自分が見えるものを歌いたいし、自分の気持ちを大切にして、ありのままの姿でいたいなと思います。

にしなさんのロックっぽい曲とかも今後聴いてみたいなって思います。

にしな カッコいい曲も作りたいですね。頑張ります!

今月の特集テーマ
「高校生の思い出の残し方」

にしなさん流の思い出の残し方を教えていただけますか?

にしな ひとつは曲を書くことです。その時の気持ちを曲として形に残すことは私なりの思い出の残し方。もうひとつは、写真を撮ることです。中でもチェキが好きで、その場で出してメッセージを書いてプレゼントすることもできるし、みんなで思い出を共有し合いながら残していけるのがいいなと思っています。

高校生の頃、プリクラも撮っていましたか?

にしな 撮ってました! 懐かしい! でも恥ずかしがりだから、変なポーズをしてごまかすタイプでした(笑)

めっちゃわかります! 私も恥ずかしくて変顔をしてしまうタイプです(笑)

にしな 振り返ると恥ずかしいですよね。今はチェキとかフィルムカメラで撮ることの方が多いですね。

写真をおしゃれに撮るコツとかありますか?

にしな フィルムカメラなら、誰が撮ってもおしゃれになると信じています(笑)。ちょっとボケていい感じになります。スマホだったらどうしたらいいんだろう? 逆に何かあれば教えて欲しいです。

あえてフラッシュで撮ったり、スタイルを良く映すにはスマホを逆さまにして撮るといいとか聞きます。

にしな そうなんだ! 私もやってみます! 学校で残すなら、協力プレイで成功させるチャレンジ動画とか。例えば一人目が投げたペットボトルを次の人が蹴ってゴミ箱に入れる、みたいな。これは私も高校生に戻れるなら、やってみたいですね。

Q. “思い出の残し方”のアイデアを教えてください!

にしな

『タイムカプセルを埋める』
クラスでタイムカプセルを埋めるとかはどうですか? 何年か後に一緒に掘り起こそうって決めて、中に例えばディズニーのチケットとか自分たちで作って入れて“一緒に遊ぼうね”って約束しておくとか。そうするとその時の思い出にもなるしその先にも思い出ができるしいいかなと思います。
にしなnishina

DISC INFO

JO1new release
『debbie』
※デジタル配信中

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