地球史の大絶滅イベント“ビッグファイブ”から地球上の生命進化の歴史をたどる「大絶滅展」

私たちが生きているこの地球では、100万年ごとに約10%程度の種が絶滅すると考えられています。この通常の絶滅(自然絶滅)とは異なり、短期間に多くの分類群が絶滅したとされる現象“大絶滅”も過去に何度も起こっています。その中でも特に大きな5回の絶滅現象“ビッグファイブ”で何が起こったのかを探る特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」がFUJIなごや科学館で開催中。chスタッフが本展を見学したレポートをお届けします!


想像していたのと違う!?
大絶滅のイメージが変わる展覧会


みなさんは“大絶滅”と聞いて何をイメージしますか?隕石が地球に衝突して、その衝撃で一瞬にして恐竜が絶滅した、そんなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。でも、そのイメージ正しくないんです。大絶滅が起こる主な要因は環境の変化。隕石の衝突や火山の噴火などをきっかけとして温暖化や寒冷化が起こり、その環境に耐えられなくなった種が徐々に長い年月をかけていなくなる。これが大絶滅です。ビッグファイブの中でも一番規模が大きい約2億5000万年前に起こった大絶滅では、西シベリアの火山活動が始まり、数100万年にわたり放出された大量の火山ガスが急速な寒冷化とその後長期にわたる温暖化を引き起こしました。さらに酸性雨が降ったり、オゾン層が破壊されたり、様々な環境の変化が起こったことで海域生物の80~86%、陸上生物はなんと97%の種が姿を消したそう。そして、影響を受けづらい場所に住んでいたり、必要な食べ物の量が少なかったりして生き残った種が進化して多様性が回復する。これを繰り返して、私たちが生きている生態系ができあがりました。絶滅というとネガティブな印象がありますが、もしビッグファイブのどれかひとつでも欠けていたら、私たちに馴染みのある種は生まれなかったかもしれないし、人間がここまで繁栄することもなかったのかもしれません。

はつね

大絶滅というと恐竜のイメージで、5回もあったことすら知らなかったし、もっと短期間で起こるものだと思っていたので、想像と全く違ってびっくり!恐竜の絶滅も具体的な経緯は初めて知りました。


感覚的にわかりやすく、
大迫力の展示演出


本展では、1回の大絶滅ごとに章立てがされていて、章ごとにコーナーが分けられています。各コーナーは大絶滅が起こる前後で壁が色分けされているので、大絶滅による生態系の変化がとてもわかりやすくなっています。また、各章ごとに当時を再現したイラストも飾られているので、生物たちが暮らしていた環境も想像しながら会場を回るとおもしろいですよ!


会場の真ん中にあるのは“大絶滅スフィア”。球形の映像展示で、大絶滅のきっかけとなるできごとが、地球上のいつどこでどのような規模で起こったかが映像化されています。


ビッグファイブの中でも一番規模が大きかった3回目の大絶滅を取り上げた3章には、大絶滅が起きるきっかけとなったシベリアの火山をイメージしたジオラマも。


恐竜などの巨大生物は実物大のレプリカが展示されていて迫力満点。


これは最初の大絶滅が起こった後に繁栄したウミサソリ。こんな大きな節足動物がたくさんいたと思うとちょっと怖いかも…。


逆によくこんなにきれいに残っていたなと感心するような小さな生き物の化石もあります。化石の保存状態は堆積物の粒の細かさやどのくらいの時間をかけて積もったかに左右されるそう。また、生き物が死んだ後、海の中で炭素をきっかけに炭酸カルシウムが集まりコンクリーションと呼ばれる塊ができることもあり、この中には保存状態のよい化石が入っていることが多いようです。会場内にもコンクリーションの中にある化石がいくつか展示されているので、ぜひ探してみて!

りょういち

時代によって多種多様な生物がみられてとても興味深かったです。僕が特に気になったのは掃除機に目のつながった触手がくっついているような見た目をしたタリーモンスター。昔はこんな動物もいたのかと驚いたのと同時に、化石からその姿を特定できるなんてすごいと思いました。


化石の中の有名種
三葉虫とアンモナイトの歴史をたどる

たくさんの生物の化石やレプリカが展示されているなかで、chスタッフが特に気になった存在が三葉虫とアンモナイト。教科書などにも登場し、有名な種ですが、想像以上に長い期間生息していたんです。


カンブリア期に出現した三葉虫は2回の大絶滅を、アンモナイトはデボン紀に登場してから3回もの絶滅を乗り越えています。もちろん三葉虫やアンモナイトの中にも様々な種類があり、その一部が絶滅して、他の種類が繁栄して…を繰り返していますが、アンモナイトの歴史はなんと3億4000万年も続いています。


時代を追うごとに少しずつ姿形が変化しているのも興味深い点のひとつ。アンモナイトの殻は初期のころは平滑なものが多かったのですが、だんだんイボやトゲが多くなっていき、最終的にはこれは本当にアンモナイトなのか疑いたくなるようなU字のものまで出現しています。また、アンモナイトは殻の中が部屋のように仕切られていて、その境目を縫合線というのですが、これも種類によって様々な形をしていて、後の時代になるほど複雑になっていくので、じっくり観察してみるとおもしろいですよ。

三葉虫については本展だけでなく、常設展にも展示があります。三葉虫の化石は隊列を成すように同じ方向を向いていることが多いそうですが、なぜだかわかりますか?答えを知りたい人はぜひ常設展にも足を運んで答えを見つけてください!

はると

化石といえばアンモナイトというイメージが強かったので、実物を見ることができて、テンションが上がりました。でもまさか三葉虫とアンモナイトがこんなにも長い間生息していたとは…。


名古屋展でしか見られない!
ご当地展示にも注目

昨年東京でも開催された本展ですが、そのときにはなかった名古屋展ならではのご当地展示もあります。それがこちら。

愛知県犬山市や岐阜県各務原市の木曽川周辺で見られるチャートと呼ばれる岩石の地層です。放散虫というプランクトンの殻が積もってできたもので、赤い部分と黒い部分がありますが、黒い部分ができたころと大絶滅が起きたタイミングが一致しています。この色の違いは当時の海底の酸素量の違いによるもので、酸素が多いと鉄が酸素と結びついて酸化鉄になるので赤くなり、酸素が少ないと硫黄と結びついて硫化鉄になり黒くなります。なので、この黒い部分ができたころに起きた大絶滅の原因に酸素量の現象が関係している可能性が高いと言われているそうです。


▲このコーナーのなかに岐阜県で採れた化石が!

かなと

地層の色の違いを科学的に見ることで、大絶滅が起こった原因が推測できること、そしてそれが木曽川周辺という身近な場所で観察できるという事実がとても興味深かったです。岐阜県で見つかった化石の展示もあり、「私たちが今暮らしている地域にも昔はこんな生き物がいたのか!」と身近なものに感じられてさらに興味が湧きました。


第6の大絶滅はいつ起こる?

火山活動や隕石の衝突をきっかけに起こった5回の大絶滅“ビッグファイブ”。これに続く6回目の大絶滅はいつ起こるのでしょうか?実はそれは私たちが生きている今現在なのではないかと言われているそうです。近年、人間活動に起因したと考えられる環境変化や生物多様性の消失が世界各地で問題となっています。現代の気候変動は過去の大絶滅を引き起こした環境変動と比べ、とても進行が早く、生物が環境に対応する時間がなく、すでに陸や海で局所的な絶滅や大量死が観測されています。

私たち人類にとって大量絶滅はもはや他人事ではありません。ぜひ、本展で過去の絶滅について知り、自分たちにできることはなにかを考えるきっかけにしてください。

みさき

すでに6回目の絶滅が始まっているかもしれない。しかもそれは人間の活動によって引き起こされていると知って、現状を変えなければならないんだという気持ちになりました。個人でできることは少ないけれど、まずは多くの人が過去の大絶滅について知り、何ができるかを考えてみることが未来に繋がるのではと思います。


―オリジナルグッズもたくさん!―

会場内特設ショップでは、絶滅動物のぬいぐるみやアウトドアグッズ、ステショナリーなど、たくさんの本展オリジナルグッズが並んでいます。



すみっコぐらしとのコラボグッズはとってもかわいくて、全種類欲しくなってしまいます。


つい引きたくなるカプセルトイもありました。


すみっコぐらしコラボの缶バッジをゲット!


展覧会を見た後は特設ショップでお気に入りのグッズを探してくださいね!


「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」の感想は?

はると

ひとつひとつの展示がとても見やすく配置されていて、パネルの解説もわかりやすかったので、地学や生物の知識がなくてもしっかり楽しめる展覧会です。なかなか普段の生活で大絶滅について知る機会はないし、教科書には載っていない知識を知るチャンスなので、ぜひ多くの高校生に足を運んでほしいです。

りょういち

これまで地球上では想像もできないような数の種が絶滅し、生き残った種が進化し繁栄して…というのを繰り返してきた。このサイクルはこれからもずっと続いていくという事実に心揺さぶられました。何億年という昔の生き物について、想像以上にたくさんのことを化石から知ることができるということにも驚きました。

はつね

知っていると思っていたはずの恐竜の絶滅についてすら、新しい発見がたくさんあって圧倒されるような感覚でした。福山雅治さんとのコラボコーナーも、福山さんの言葉のチョイスがおもしろくて、思わず見入ってしまいました。ぜひ会場に足を運んで、大絶滅という出来事のスケールの大きさ実際に体感してみてほしいです!

かなと

たくさんの種が絶滅と繁栄を繰り返してきた歴史の上に、現在人間が存在していると考えると、6回目の大絶滅を起こさないよう、環境を守ることは僕たちにとって重要な使命であると思いました。知るだけではなく、考えを深めることができる有意義な展覧会でした。

みさき

わかりやすい展示で、そもそも5回も大絶滅があったことすら知らなかった私でも、どんどん興味が湧いてきて、これから受ける地学の授業がとても楽しみになりました!パラトバエナというカメ類の頭の化石がかわいかったので、ぜひ皆さんにも見てほしいです。

展覧会の開催は6月14日まで。ゴールデンウィークのお出かけにもおすすめです!


 特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」
  • 会期:2026年3月20日(金・祝)~2026年6月14日(日)
  • 会場:FUJIなごや科学館 理工館地下2階FUJIイベントホール(〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄2丁目17-1 芸術と科学の杜・白川公園内)
  • 開館時間:9時30分~17時(入場は16時30分まで)
  • 月曜日、毎月第3金曜日、5月7日(木)。ただし、3月20日(金・祝)、5月4日(月・祝)は開館

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