ニトリ白井社長|伝説の似鳥会長と30年。「目標から逆算して計画を立て、実践することを教わった」

ニトリ

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ぱせ(高3)・こうき(高3)・みずき(高3)・みう(高3)・あきら(高1)

株式会社ニトリホールディングス 白井俊之社長

「お、ねだん以上。」のキャッチフレーズで愛されるニトリの誕生は今から50年以上前。
創業者・似鳥昭雄会長から社長職を引き継がれた白井俊之社長にお話を伺いました!


どんな会社か教えてください!

「お、ねだん以上。」の
「ニトリ」を運営

家の中を便利にしたり楽しくコーディネイトするための家具やインテリア・生活雑貨を販売している「ニトリ」を運営しています。ソファやベッド、食器、布団…と幅広い商品を扱っています。CMの「お、ねだん以上。」というキャッチフレーズ通り、同じ商品なら、他社より絶対安くしたいという考えがあるんです。例えば1万円の売上げを考えた時に、一人のお客様が1万円を払ってくださることより、100人のお客様が100円ずつ買ってくださることを目指しています。たくさんの方が手軽に買える価格で、良い物を提案していくことを考え続けています。

高校生の頃はどんな学生でしたか?

「社会の役に立つことがしたい」
と漠然と思っていた

今でも高校時代の仲間と付き合いがあって、実は先日もクラスメイトで集まってきました。部活は硬式野球やバドミントンをしていて、放課後に時間がある時は、友だちみんなとトランプの「ナポレオン」というゲームをしていた記憶があります。クラスの中で1軍・2軍があって(笑)。高校時代に明確に「将来こうなりたい」という気持ちはなかったのですが、ちょうど日本に「公害問題」が多く出てきた頃だったので、社会の役に立つことができればいいなと漠然と思っていました。大学は理系に進みました。僕の友だちには、「数学もできなかったけど、英語はもっとできなかったから理系に行ったんでしょ」って言われますけど(笑)

大学卒業後、ニトリに就職を決めたのはなぜ?

創業者・似鳥会長の
将来のビジョンに共感

当時のニトリはまだ「家具屋さん」だったんです。店舗もそれほどなくて。ただ、東京で行われた会社説明会で今の会長(創業者の似鳥社長)と会って「日本で一番の会社になりたい」という将来のビジョンを聞き、これはおもしろそうだなと思ったんです。そこに共感して入社を決めました。

伝説の似鳥会長と30年仕事。
驚いたエピソードは?

奇跡とも思える「30年計画」を
実現した実行力

ニトリの創業は’67年12月ですが、会長は’72年に「30年計画」を作り、2002年までに100店舗に増やして、年間売上を1000億円にするという目標を立てました。当時の売上は1億6000万ほど。奇跡のようですが、それが31年後の2003年に達成できたんです。僕が中にいて感じたのは、目標を持って、そこから逆算をして計画を立てて実践したことが、実現できた大きな原動力だということです。そうすることで、遠く見える、難しいことでもいつしか周りの方々も応援してくださるようになって実現していくんです。それは会長と一緒に仕事をしてきて、教わったことです。実際そばにいると大変なんですけどね(笑)。勉強でも同じかもしれないですね。ニトリは、難しいことと簡単なことが目の前にあれば、難しい方を選ぶ、というのが社風としてあります。外注する場合も、簡単なことを外部にお願いして、難しい方を社内でする。そうしないと社内で人材が育たないし、ノウハウも残らないですから。

同業者の他社との違いは?

独自の品質基準で
「いじわるテスト」を行っている

まず、同じような物であればニトリが安いことです。そして、品質管理については社内に品質検査室があり、徹底的に管理しています。国の基準をクリアすることはもちろんですが、ニトリにはさらに安全のための独自の品質基準があるんです。品質管理の担当が新しい商品を見て、これはお客様がもしこういう使い方をした場合には危険が及ぶのではないかと考えたら商品を作る側につき返します。社内では「いじわるテスト」と呼ばれています。売り場に並ぶまでにはいろんな工程を経ているんです。

社長のお気に入りのニトリ商品は?

商品を囲んで楽しい会話が弾む
クリスマス商品

毎年クリスマス商品は好きですね。クリスマス商品をケンカしながら買って行く人っていないじゃないですか。その商品を囲んで楽しい話が弾む感じが、見ていてとても嬉しいんです。あと、僕の奥さんは札幌と東京を行き来しているので、東京の家では、僕はニトリの商品を使って洗濯や掃除、靴磨きも自分でしていますよ(笑)

「お、ねだん以上。」のキャッチフレーズはどうやって誕生したの?

あれは、10年以上前に作ったんですが、たくさんの候補の中から社内でアンケートなどを取って、最後に今の似鳥会長が「これでいこうか」と決めました。「お値段以上。」と思われていることが多いんですが、実は「お」の後ろに「、」が入っています。

お仕事のやりがいは何ですか?

「スキレット鍋」などの
ヒット商品が生まれる楽しみ

欧米国と比べると、これまで日本人って、友だちを家に呼んだり家族で団欒したり家の中で過ごす時間が短かったんです。それが昨今、日本人も家の中で過ごす時間が延びてきました。そんな中で家の中を快適にするための商品を提案させてもらえることはやりがいでもあります。また、商品は毎年半分以上を新しくしているので、その中でヒット商品が生まれてくることも楽しいですね。少し前だと「スキレット鍋」や「モチモチクッション」など。体から発散される水分を熱に変える繊維を使った冬用の寝具「Nウォーム」や触るとひんやりする夏用の「Nクール」も人気ですし、デザイン性も高い商品が増え、お客様に喜んでいただけることは嬉しいですね。

    白井社長が心掛けている3つのこと

  1. 健康であること

    社長になると結構先々のスケジュールまで決まってきます。僕が風邪を引いてしまうと多くの方に迷惑をかけてしまうので、健康のために月に3回はプールに行っています。健康管理だけは自分でしかできないですから。

  2. 現場(店舗)に行く機会を増やす

    ニトリの現場はもちろん、世の中のどういったところにお客さんが集まるのか、店舗を見るようにしています。お客さんのいないところだけで仕事をしていると、普通のお客さんの感覚がわからなくなってしまうことがあるんです。

  3. 未来から逆算して“今”を考える

    社長は自分自身の時間の使い方を変えていかないといけません。今日1日の時間を何に、何時間使うか、それはすべて未来から逆算して、会社にとって今するべき重要なことを考えていかないといけないんです。

仕事に欠かせないアイテムは?

JTBの時刻表

白井俊之

(JTBパブリッシング刊)

白井社長

全国の店舗に出張に行く機会が多いので、僕はこの時刻表を見て、計画を立てます。電車や飛行機の時刻表がすべて載っているんです。社員がインターネットで調べるより速いから、時刻表の使い方は、社内で一番速いかもしれないですね(笑)。冊子だと、いろんなルートを同時に考えられて便利なんですよ。ちなみにこれは‘09年に出された、JTBの時刻表の1000号記念です。
白井俊之Toshiyuki Shirai
‘55年、北海道出身。’79年、宇都宮大学工学部環境化学科を卒業後、株式会社ニトリに入社。全国の店舗の店長などを務めた後、’14年、株式会社ニトリ代表取締役に就任。’16年には創業者の似鳥昭雄より引き継ぎ、株式会社ニトリホールディングス代表取締役社長に就任した。