「音楽は総合芸術」 シンガーソングライターReolの音楽に対するこだわりとそのルーツとは

Reol名義では初となるフルアルバム『事実上』をリリースしたシンガーソングライターReolさんへchスタッフがインタビュー。Reolさんの音楽に対するこだわりなどをお聞きしました!

ジャケットや曲順はもちろん、曲間の秒数まで!
こだわりがつまったフルアルバム『事実上』

今作のタイトルは『事実上』ですが、前作『虚構集』と対になっているのでしょうか?

Reol 『虚構集』を制作していた時から、次にアルバムを出すときは対になる作品にしようと決めていたんです。前作は「虚構」、つまり「フェイク」にフォーカスしたので、今作は「事実」に基づいた人間の欲や本能といった、生々しさを描くことを意識しました。

アルバムジャケットもインパクトがあります!

Reol 今作のテーマである「生々しさ」を一番感じるのは動物だと思っていて、それを表現したジャケットです。私が真ん中にいて、周りに動物の置物が散りばめられているという構図は、お釈迦様が亡くなった時に弔いとして生き物たちが集まったという逸話を描いた涅槃図からヒントを得たものです。背景の赤色は血液をイメージしています。

こだわりがたくさんつまっているんですね。

Reol こだわり出すと止まらないタイプなので、アルバム全体の流れにもこだわっています。一般的に4拍子の曲が多いので、3拍子の『幽居のワルツ』はアルバムの中でも異様な曲なんですが、それを1曲目に持ってきたのは、聴く人に、これから何が起こるのか予測させないようにするという意図からです。
曲順だけじゃなくて、次の曲がかかるまでの秒数にもこだわっているんですよ。1秒も空けずにつないだり、バラード曲の後は余韻に浸ってもらうために3秒とったり。

3曲目の『激白』の強い歌詞と耳に残るリズムの調和が好きです!

Reol この曲は押韻(同一または類似の音韻をもった語を一定の箇所に用いること)を数多く取り入れています。“本能(honnou)”や“衝動(shoudou)”など同じouという音を合わせることで、歌詞の意味を伝えることはもちろんのこと、よりリズミカルで耳心地が良い楽曲に仕上がっていると思います。

6曲目『真空オールドローズ』は恋人との別れを連想しました。

Reol これは私の高校生の時の恋愛を歌った曲です。初めて付き合った人って、その後の恋愛の基準になると思うんですけど、少しトラウマがあって。それを断ち切る意味も込めて、あの頃の恋愛と向き合ってみました。

音楽は総合芸術だと考えるようになったきっかけは
小学校の時のマーチングバンドの経験から

歌詞やメロディーはどのように浮かんできますか?

Reol メロディーはお風呂でぼーっとしているときに浮かんでくることが多いですね。鼻歌で他の方の曲を歌っているとつい自分で新しいメロディーにつなげてしまったり。そうして生まれたメロディーのパーツをパソコンで録音しています。反対に歌詞は机に向かって集中して書きますね。たまにTwitterに投稿する文章を考えているときに、詩的な表現が出てきて、これをSNSに投稿するのは勿体無いなと、歌詞用に温存することもあります。でも、そういうフレーズは後から見直すと、その時の感情でしかないので結局使わずに終わってしまうんですよね(笑)。

シンガーソングライターだけではなく、セルフプロデュースを始めたきっかけを教えてください!

Reol 小学生の時にマーチングバンドに所属していたことがきっかけです。そのマーチングバンドは列をなしてのパレードではなく、ミュージカルのようなショーをしていて。私はトランペットを担当していたのですが、演技やダンスも練習しました。その経験から、音楽は総合芸術だと考えるようになって、セルフプロデュースを続けています。

今までの人生で影響を受けた人はいますか?

Reol 人生で初めて買ったCDはYUKIさんの『JOY』でした。YUKIさんの音楽に出会うまでは、耳に入って来る音は素晴らしいと思っても、その人に視覚的興味を惹かれるということがなかったんです。でも、『JOY』を聴いたときに、音と衣装やミュージックビデオなどの視覚的な部分も全て噛み合った総合芸術だと思ったんです。YUKIさんがどういったCDを作っていて、どういったPVを作っているのか気になって、旧譜も全部聴きました。その後は、東京事変や椎名林檎さん、椎名林檎さん、宇多田ヒカルさん、ELLE GARDEN、相対性理論が大好きでした。高校の頃は洋邦問わず、チャートに載っていない音楽を掘り下げたり、コアなジャンルを聴いたりするのが楽しかった時期でした。そういうお年頃だったのもありますが(笑)

ライブ前に必ずすることはありますか?

Reol ライブの始まる1週間くらい前から毎日10kmの走り込みをします。お客さんを次々とワクワクさせるために曲と曲が空かないライブ構成にすることが多く、体調を整えないといけないので。直前は楽屋で声出ししています。

ちなみにライブ中のお客さんの顔って見えていますか?

Reol 私はめちゃめちゃ見ます!「あなたに歌っています」という気持ちをこめて、じーっとお客さん一人一人を見つめたり。ありがたいことに、お客さんの数も増えてきましたが、生の場ではその一人ひとりと向き合いたいと思っています。音楽をやっていなかったら、この人と同じ空間にいることはなかったんだなあと思うと、その1つ1つの出会いを大切にしたいですよね。

最後に高校生の皆さんに進路についてアドバイスをお願いします!

Reol 私は高校生の時は堅実に公務員になって、音楽は趣味の一環として続けようと考えていたのですが、就活が始まる時期にちょうどレーベルさんからデビューのお声がかかって。周りの子たちがどんどん就職していく中で、自分は音楽で生きていっていいのかと真剣に悩みました。悩みすぎて寝られない日もありました。でもやっぱり自分がやっていて楽しいことが1番長続きするので、自分の興味のあることに突き進んでいくしかないと思い、音楽の道を選びました。ダメでも日本で生きている限り、飢えて死んだりはしないです。高校生はまだ何にでもなれる時期なので、自分が後悔しない道を選んでください!

Realレヲル

シンガーソングライター。自身のアーティスト活動全般をセルフ・プロデュースするマルチ・クリエイター。2012年頃よりインターネットを通じ音楽制作を始める。2015年、れをる名義でアルバム『極彩色』をリリース。この年のオリコン新人アーティストランキングで4位に選ばれる。2016年、3人組ユニットREOLとして活動を開始、アルバム『Σ』をリリース。2017年10月、ラスト・ライヴ「終楽章」をもって、REOLを解散。2018年初頭、ソロ・アーティストReol名義によりCONNECTONEレーベルで活動を開始。

DISC INFO
1stフルアルバム『事実上』 Now on sale
初回限定盤:CD+DVD+ブックレット VIZL-1418 ¥3,800(税抜)
通常盤:CD  VICL-65037 ¥2,500(税抜)

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