特集「今、留学が気になってます」|高校生留学経験者がリアル体験を対談!

「留学」が気になっている高校生読者のために、ボランティアでカンボジアを訪問した経験を持ち、現在「#せかい部」メンバーとして活動する高校3年生・園田新菜さんと留学経験者のchスタッフが対談しました! 今後の参考にしてください!

ボランティアで
カンボジアの子供に日本語指導!?

よしか まずは、新菜ちゃんのカンボジアでのボランティアがとても気になります!

園田 カンボジアの村の子供たちに日本語を教えるボランティアだったんですが、これは、これまでの価値観が何もかも変わる体験でした。水道も通ってなくて、これまで私が日本で“足りない”と思っていたことは、どれも“無くてもいいもの”なのかもしれないと思うようになりました。子供たちの目がキラキラしていて本当にかわいくて、豊かさって何なんだろう? って考えたり。

よしか カンボジアって、行く前怖かったりしなかった!?

園田 申し込んだ時は、「やりたい!」と思って衝動的に申し込んでて(笑)。後から、デング熱のこととか狂犬病のことを知って、「どうしよう」「危険じゃないかな」とか心配になったんだけど、もう申し込んだし、行ってしまえ! と(笑)

よしか すごい(笑)。でも、留学って、そういうところあるかも。あまり悩むより、行ってしまえば、必ずそこで何かを得ることができるよね。

実際に留学してみてのギャップはあった?
英語って上達するものなの?

園田 私の場合は、カンボジアって、貧困で何もない街のイメージだと思うんですけど、都心部は本当に栄えていて、空港の通りにはホテルが300軒くらい並んでいたんです! でも私が行った村は水道も通ってないところで、その貧困の差には驚きました。

よしか 実際に行ってみないとわからないことってたくさんあるよね。インドに留学していた私の友だちで群馬出身の女の子は、インドも都心部はすごい栄えていたみたいで、「群馬より栄えてるわ!」って言ってた(笑)

かいせい 僕はオーストラリアは「多様性」で知られる国なので、いろんな考え方を知りたいと思って留学したんですけど、例えばショッピングモールのフードコートに行っても、各テーブル、お客さんの着ている服もいろんな民族衣装があって、話す言葉も違うし、イスラム教徒のためのハラルフードもあるし、館内マップもたくさんの言語で訳されていて。他者への配慮とか思いやりがあるなぁというのは、想像以上でした。

さゆり 英語の上達に関しては、ギャップが大きかったかな。私は1年前に留学から帰って来た高校の先輩たちを見て、“1年でこんなに流暢に英語が話せるようになるんだ”って、すごくそこに憧れて、期待していた部分があったんです。でも実際は、1年留学しても、自分の場合は思い描いていた理想にはそこまで近付けなくて。

よしか うんうん、わかる! 英語の上達の壁はあるよね。私も行く前は、留学に言語面のスキルアップに期待していた部分って大きかったんです。1年間は日本語を使わないように、日本との連絡も絶って、英語だけを使うようにしていたけど、でも実際に留学で得たものって、言語より「経験」の部分の方が大きかった。苦しい中でも乗り越えて友だちを作ったこととか、自分自身について考えたこととか、そういった経験の方が、自分の自信に繋がったと思う。

さゆり わかります、それ。

よしか あと、言語じゃないものが言語のツールになるんだってことも実感した。例えば私はダンスをやっていたから、180度開脚ができたの。たまたまそれをやると、「Oh,よしかすごい!」って、その瞬間からみんなが話しかけてくれるようになって。だから、言語の習得に固執するんじゃなくて、自分に何か技術を身につけて、それで海外に出たいなという思いは強くなったかもしれない。

現地校で友だちはできるものなの?
辛い思いはしなかった?

さゆり 私は留学中の1年は、楽しさ3割、苦しさ7割って感じだったんです。はじめはすぐにみんなと仲良くなれるかなと思って毎日いろんな子に話しかけてたんですけど、私は発音が悪くて完全にカタカナイングリッシュだったので、生徒たちにすごいからかわれて、取り囲まれて「さゆり、あれ言え、これ言え」って髪の毛を引っ張られたりして。

よしか えぇ!? それは辛い。よく耐えたね。

さゆり うん、他に日本人の子もいたのでそっちに逃げたいなとは思ったんですが、それじゃ意味がないなと思ったので、他の友だちを探していきました。やっぱりその時は親とか友だちからの手紙がすごい支えになった。

よしか やっぱり留学前の不安って、「友だちができるか」とか「ちゃんとなじめるか」という部分だと思うんだけど、何かアドバイスとかある?

さゆり どうせ1年とか、限られた期間のことだと考えて、こういうことをしたら恥ずかしいかなとか考えないで、思い切りいろんなことをしてみたらいいと思う。私も学校のグチはホストファミリーとかシスターにこぼしたし、ホストファミリーのグチは、学校の友だちにこぼしたりしたし。日本の高校の先生や先輩たちからも「バカになって何でも挑戦しろ」って言われていたので、その後、友だちを作るためにいろんな部活に参加してみたり、自分から「折り紙教室」とか「日本語教室」をやったり、「日本語合唱団」を作ったりしました。

よしか 日本語合唱団?

さゆり そう。ニュージーランド人って、意外と前に出るのを恥ずかしがって怖がる人が多いんです。

あい へぇ、意外。

さゆり 前に出て頑張っている人のことを笑う人が多いからかなと思ったんですけど、それは間違ってるよということを伝えたくて。その方法を考えた時に、日本語だとまだ誰も知らないから、誰が上手くて誰が下手とかないでしょ、みんな同じスタートラインだから。それなら日本語の歌の合唱ならいいかなと思って。

よしか すごい。やっぱり短期間のホームステイで行くのと長期で行くのは全然違うなって思った。ホームステイの時は、市が連携した姉妹都市だったから、全員がウェルカムだったんです。自分が頑張らなくても友だちができるし。だけど長期で向こうの高校に入る時は、現地の生徒にとっては、何でもないただの一人の生徒だから、こっちから話しかけないと話しかけてきてはくれないし。そのギャップには結構びっくりしたかも。精神面、鍛えられるよね(笑)

さゆり はい、もう結構今は何でも乗り越えられる気がします(笑)

留学中に直面した
トラブルって何かある?

園田 トラブルだと、カンボジアではトイレ問題(笑)。すごい汚いし、水が流れなくて、くんでおいた雨水で流すんです。トイレットペーパーがないから持って入るんだけど、一度その大事なトイレットペーパーを落としてしまったことがありました(笑)

さゆり 私もマレーシアとフィリピンでは、お風呂のお湯が出なくて、1ヶ月ずっと水風呂でした。何度も修理を頼んだんですけど、それでも水が出るから、諦めました(笑)。その辺は、日本ってほんとに整ってるなと思いました(笑)

かいせい 僕は病院に行きました。向こうの学校で「合気道をやっていた」と言ったら、「それなら柔道もできるでしょ?」っていきなりクラスメートに投げられて(笑)。普通のフローリングだったので全身打って起き上がれなくなっちゃって。でも病院行ったら、受付の人がドーナツ食べてたりして(笑)

よしか 病院は保険がきかないから私は1年間行かなかった。虫歯にもならないように、歯磨きも気をつけてた。海外って、何か困って電話とかしても、日本みたいに対応が丁寧じゃないから、全然真剣に取り合ってくれなかったりするよね。みんな仕事とプライベートならプライベートを重視してるし、学生も、勉強よりも友達と遊ぶことを重視、という感じだった。それが良いところでもあるんだけど。だから、日本に帰って来て日本の高校に戻ったら、すごい窮屈に感じたところもあるかも。アメリカだと普通に授業中にお菓子食べたりもしてるしね。

ホストファミリーでの
トラブルはなかった?

さゆり 私はホストファーザーがめちゃくちゃ気分屋で、ちょっとでも気に入らないと1週間口をきいてくれなくて、大変でした。

あい ホストチェンジしなかったの!?

さゆり うん。私の場合はホストファーザーはどうすれば機嫌よくなるのかなとか、その気持ちを考えて自分がそれに添うように振る舞うようにしようと思って。そうしたら、機嫌良くいろんなところに連れて行ってくれるようになったよ。

よしか すごい! 偉い! みんな、ごはんは大丈夫だった? 私は苦手な野菜が多いんだけど(笑)、訪れた初日に「うちはベジタリアンだから」って言われて「マジか!」ってなった。すごい良いホストファミリーだったんだけど、お肉に飢えてたから、夜中にひとりでYouTubeで焼肉の動画見たりしてた!

かいせい 逆に僕のホストファミリーは肉しか出なくて、野菜が1回も出なかったです(笑)

あい 女の子は大抵体重が増えて帰って来て、男の子は減って帰って来る子が多いってよく聞くよね(笑)。私もすごい良いファミリーだった。

よしか でも学校でも辛いしホストファミリーも辛いってなったら、精神的にもキツいから、何かあればすぐにチェンジを言ったらいいと思う。時間がもったいないしね!

海外の高校と日本で
授業の違いは何かある?

かいせい 学習カリキュラムが全然違っていました。例えば化学だと僕たちの高校より上の範囲をやっていて、ひとつの単元が終わったら次の単元に移っていく形だったので、こんな勉強の仕方もあるんだと思いました。

よしか 全然違うよね。私は普通の公立の高校に入ったんだけど、基本授業は好きなものを選べるし、成績の良い子は大学の授業を取ったりもしていて。そうすると大学で授業を受けなくてよくて。アメリカって大学の学費がすごい高いんだけど、その分少し安くなるから、みんな必死に取ってたかな。だから授業も学年もいろいろ混じっていて。個人のスキルに合わせて学ぶ内容を自分で決めていけるのはいいなと思った。

あい 私が驚いたのは、みんなが一人1台iPadを持っていて、それで授業を受けたり宿題をしたりしていたことかな。日本でも最近は取り入れてる学校も増えてきているけど、やっぱりその辺は、海外の方が早いと思った。

かいせい ディスカッションも多いし、先生と生徒が日本よりも対等な感じがありました。質問もしやすいし、先生もきちんと答えてくれますよね。

これから留学を考えている
高校生にアドバイスをお願いします!

よしか 高校生の間に行くメリットはたくさんあると思う! 海外の場合、大学って“勉強する場所”だから、友達との関係だったり部活を楽しんだり、生活を一緒に楽しんで交流するという意味では、高校で留学したがいいと思う。

かいせい 僕もやっぱり高校生の間にもう一度行きたいと思ってます。

園田 私が運営に携わっている「#せかい部」でも先日「オフ会」があって、すごい楽しかったんです。留学を考えていたり、海外に興味がある高校生同士が集まって話せる場に参加するのもひとつだと思います。

よしか そうそう! 調べると意外とたくさんそういう留学イベントってやってるんだよね。私の使った留学仲介の「AFS」でも留学前のオリエンテーションがあって、全国のいろんな高校生と出会って仲良くなったよ。ある人はカナダへ行くし、ある人は東南アジアへ行くし、みんなそれぞれだから情報交換もおもしろい! 帰国生からのアドバイスも聞けるし。留学制度も調べれば調べるほどいろんな団体があるし、どれも怪しく見えてくるから(笑)、経験者の話を聞いて参考にするのが一番いいと思います。

あい 留学中の人のブログを読むのもいいですよね!

よしか 新菜ちゃんは、次、何か留学を予定してるの?

園田 カンボジアのボランティアは2週間ではまだやり残した感があるので、もう一度行きたいなと思っています。その後は、フィリピンのスモーキーマウンテン(スラム街)でごはんを提供するボランティアにも、できれば高校生の間にそれに参加したいなと思っています。

■メンバー紹介

園田 新菜(高3)

文部科学省が主導する「トビタテ!留学JAPAN」が発足した、高校生による高校生のためのソーシャル部活動「#せかい部」の運営メンバーとして活動。高2の夏に体験したカンボジアでのボランティアで価値観が大きく覆されました。

留学経験:
中3:オーストラリア(2週間)
高1:アメリカ(20日間)
高2:カンボジア(1週間)※子供たちに日本語を教えるボランティアで参加
利用した留学制度:海外ボランティア派遣NGO「ぼらぷら」

よしか(OG)

中学時の短期ホームステイを経て、高校を1年休学して、アメリカの現地校へ1年間留学。花形とされるチアリーディング部に入り、アメリカの高校生活を謳歌。留学前はどの留学仲介会社を利用するかにかなり悩みました。

留学経験:
中1:アメリカ(2週間)
高3:アメリカ(1年間)
利用した留学制度:中1の際は、市の姉妹都市との交換留学生として参加。高3の際は、高校生の交換留学を主な活動とする国際教育交流団体「AFS」

さゆり(高3)

生徒全員が1年間留学を経験するという高校に通う。全員が別々の高校に配属され、1年間は、携帯・ネット一切禁止。日本の家族や友達との連絡も手紙のみという過酷な留学期間を体験しました。

留学経験:
高1:ニュージーランド(8ヶ月間)
   マレーシア(1週間研修)
   フィリピン(1ヶ月研修)
   シンガポール(4週間研修)
利用した留学制度:高校独自の制度

あい(高3)

高校の留学制度に軽い気持ちで申し込み参加したものの、英語をほとんど話せない状態での留学だったため、大学生になったら、もう一度英語をきちんと勉強して改めて留学をしたいと考え中です。

留学経験:
高1:オーストラリア(2週間)
高1:台湾(2週間)
利用した留学制度:高校の交換留学制度

かいせい(高2)

市の奨学生としてオーストラリアへ留学。現地の高校には3日間しか通えなかったため、再度留学をしたいと考え、その後UWC(United World Colleges)に申し込むも叶わず、今年の夏に、次の留学を計画中です。

留学経験:
高1:オーストラリア(2週間)
利用した留学制度:市の奨学生として、国際青少年研修協会の留学プログラムに参加