【よしもとTALK】辻本茂雄|自ら台本を書いて舞台に立ち続ける「茂造じいさん」が思う“人生の喜び”

今月は吉本新喜劇で1999年から20年に渡り、座長を務めた辻本茂雄さんがご登場!
新喜劇と恒例公演を抱えながら、昨年7月から全国14ヶ所で「辻本茂雄還暦特別公演記念ツアー」を敢行中。さらに今年のGW恒例の「茂造祭り!」は、会場も新たに、パワーアップしてお届け。
多忙な芸歴39年を振り返って、お笑いの道に進んだ喜びを語ってくださいました。

台本は同時並行して執筆
登場人物が混じりそうになることも

今年のGW開催の「天使の茂造」は、劇場が祇園花月からサンケイホールブリーゼにスケールアップされています。「茂造祭り!」シリーズの誕生は18年前と伺いました。

辻本 そうですね、元々は京橋花月というのがありまして、昼は漫才やって新喜劇、夜は本格的な芝居を吉本興業が行っていて、そこに18年前、長編芝居「茂造~閉ざされた過去~」をやったのが始まりです。今回の「天使の茂造」は2023年の再演なんですが、コロナ禍じゃない時にやりたいなと思った時に話が来たんで、頑張りたいと思います。一幕が思いっ切り笑って泣いて、泣いて笑ってという芝居で、二幕がほとんど笑いの芝居です。

内容は2023年と同じですか?

辻本 いえ、違いますね。メンバーが増えてるし、キャラも全然違うものにパワーアップして書き直しました。

どこで台本は作られていますか?

辻本 資料や過去の台本がいっぱい置いてある打ち合わせ部屋です。家に帰ったら仕事のことはもう全部忘れようと思いまして、今日は4時間やる、今日は5時間って決めてここでやるんです。その5時間で何も出えへん時もありますし、5時間でめちゃめちゃ書ける時もあります。でも何か繋がると思ってるんで、まったく案が出なかった5時間も無駄な時間ではないと思ってます。

今回書き直しされて、パワーアップさせた点を教えてください。

辻本 再演の“一度やってる強み”で、笑いの場所がわかっています。新しいメンバーのピーチは他の劇団に所属していますが、年末の「茂造新喜劇祭り!」にはいつも出てもらっているので、僕でしか作られへんそいつのキャラを出して、より一層面白くしています。それと、毎年キャラメルパッキングのTAROOちゃんと一緒に舞台のオリジナルソングを作っているので、それも楽しみにしといてほしいなと思います。

稽古はいつから始まりますか?

辻本 4月からです。新喜劇の稽古は前日に3、4時間やって、本番1時間前に集まって、舞台本番を迎えるんですが、このシリーズだけはほんまに本格的な芝居をするんで、大体25日間ぐらい稽古日をもらうんです。それぐらいせんと18年間続けて来られなかったと思います。

他の公演もある中、昨年7月から「辻本茂雄還暦特別公演記念ツアー」で全国14ヶ所を回られています。立て続けということで、大変なことはありますか?

辻本 台本作りですね。GWの夜芝居「茂造祭り!」は大体10月頃から5ヶ月ぐらいかけて書いていますが、その間にちょっと中断して、年末恒例の「茂造新喜劇祭り!」の台本を書き、GWの「茂造祭り!」が終わるとすぐになんばグランド花月で「辻本新喜劇」が1週間、その後、名古屋に飛んで御園座で舞台があるので、それら全ての台本も書かなあきません。今回はその間に、還暦ツアーのショートバージョンとロングバージョンの台本を書かなあかんかったんで、めちゃめちゃ大変でした。

頭がぐちゃぐちゃになりませんか?

辻本 なります。去年は、稽古の時に違うやつが出てきて、「あ、ちゃうちゃう! これちゃうやつやったわ」って、そんなのがいっぱいあって大変でした(一同笑)

緊張感が高まるほど
その後大きな笑いが生まれる

辻本さん流の台本を作るコツみたいなものはありますか?

辻本 新喜劇は笑いだけなんですが、夜芝居は笑いと感動をどう入れるかっていうことで、どちらも内容がちゃうんです。僕は“緊張と緩和”の笑いがめちゃめちゃ好きなんです。風船に例えたら、小さい風船に針刺してもパンとかしか言えへんけど、大きな風船に刺したらバーッて破裂しますよね。

はい。その風船が、大きければ大きいほど…。

辻本 そう、笑いは大きいです! この風船の大きさが僕は緊張感やと思っていましてね。で、その緊張感を作ったところに茂造がボケるんです。そこでどれだけ大きな笑いが来るかを大切にしてるから、その緊張感の芝居を考えるのに時間がかかります。今回の舞台は一幕に緊張感があって、そこに茂造が針を入れた時に、(笑いが)ドーンと来ると思います。

以前「体にガタツキが来ているけど舞台では出さないようにケアを欠かさない」ということをお話しされていましたが、過酷な舞台は大丈夫ですか?

辻本 元々僕は競輪選手を目指していて、10代の頃、両膝の骨に腫瘍ができて移植手術してるんですよ。その時にお医者さんに年取ってきたら絶対痛なるっていうのは言われているので、日頃のメンテナンスはかなりやってます。

筋トレとかですか?

辻本 筋肉もつけたいですけど、膝に負担がかかるんで体重減らしてね。この2週間で5キロ落としました。晩は妻の作るチキンサラダだけです。あと5キロ、ここからグッと締まります。

取材にあたって辻本さんのことを調べましたが、個人のことはあまり出てきませんでした。

辻本 そうですよね。僕はプライベートは出さないので、家族構成もわからないですよね。XもTikTokも見られへんし、インスタグラムも何もやってないです。でも、ここだけの話だけどね、プードルの“コロン”と“たくあん”っていう蛇を飼ってます。

そうなんですか!!

辻本 人間ってやっぱり情があるんですね。というのは、僕が東京グランド花月の舞台で1週間東京に行く前の日に、息子が黄色い1メートルくらいのボールパイソンをうちに置いて行ったんです。妻は「捨てて、見られへん言うたやろ!」って言ってたんやけど、僕が東京から帰って来たら、妻が「おかえり」って首に蛇巻いて出て来ました。

首にですか!?(一同爆笑)

辻本 はい。ちょっとプライベート喋ってしまいました(笑)

辻本さんは競輪選手の夢を諦めた時にたまたまNSCのポスターを見つけてNSCに入られたそうですが、当時はどんな気持ちでしたか?

辻本 僕はお笑いはあんまり知らんかったんやけども、ずっと夢追いかけて来たし、今何もすることないんやったら、いっぺん足踏み入れたらなんか光が見えるかなと思って入りました。それで39年も経ちました。

お笑いの道に進んだ選択を、今はどのように思っておられますか?

辻本 お笑いに入った頃はまだ「競輪選手になりたい」とか思ってましたが、だんだん年を取るにつれて、僕の知ってる競輪選手が引退していくんです。僕は今年62歳。まだ仕事ができています。お笑いの世界に入って良かったと思いますよね。こうして自分で台本書いて、自分で演出して、みんなに力借りて舞台ができて、お客さんにも喜んでいただいてっていうのはすごくすごく嬉しいです。

辻本茂雄さんは
「新しい環境にすぐになじめるタイプですか?」

辻本 小さい頃は地域の祭りでお母ちゃんがいないと何もできないあかんたれでしたが、小学校くらいから少しずつ変わってきました。それでも、高校時代は誰かが声かけてくれるのを待ってるタイプでしたね。今は舞台の1発目の稽古で、僕がまずキャストや作品の紹介をして、「皆さんの力を貸してください、今年も絶対盛り上げていきましょう」と挨拶して盛り上げています。

辻本茂雄

1964年10月8日生まれ
大阪府泉南郡南海町(現・阪南市)
NSC大阪校5期生

<祇園花月からサンケイホールブリーゼへ!「天使の茂造」>
4/29(水・祝)~5/5(火・祝)
大阪・サンケイホールブリーゼ
18:00開場/18:30開演 ※5/5(火・祝)のみ17:30開場/18:00開演
出演者:辻本茂雄、安尾信乃助、高井俊彦、平山昌雄、瀧見信行、清水啓之、多和田上人、
レイチェル、松本慎一郎、玉置洋行、永田良輔、生瀬行人、たかおみゆき、大塚澪、小林ゆう、
ピーチ、村崎真彩(サンミュージックブレーン)、要冷蔵(劇団往来)、あいはらたかし(劇団往来)、
手島英治(劇団往来)、井路端健一、入木将志(ザ・ブロードキャストショウ) 協力:劇団往来