首都圏TSUTAYA杉浦社長が「高校の図書館をプロデュースするとしたら?」

首都圏TSUTAYA

北海道版・関東版・東海版・関西版・中国版・九州版
よしか(高3)・はなえ(高3)

株式会社首都圏TSUTAYA 杉浦敬太 社長

DVDやマンガのレンタルはもちろん、書店のまったく新しいスタイルを生み出し、
居心地の良い空間を提案するTSUTAYA。首都圏担当の杉浦社長にお話を伺いました!


どんな会社か教えてください!

リーズナブルな価格で
「文化」を世の中に届ける

TSUTAYAは36年前にスタートした会社で、親会社はカルチュア・コンビニエンス・クラブといいます。創業当時は、海外の映画を観たり音楽を聴くことは、日本でまだまだ貴重な体験でした。そんな時代に「文化」としての映画や音楽をリーズナブルな価格で世の中にデリバリーしていく取り組みを始めたのがTSUTAYA。圧倒的に若者たちに支持されました。家族連れで来店できるお店にもなりました。なので、TSUTAYAはレンタルのイメージが強いかもしれないけれど、実は今、本屋さんとしても業界で一番の売上なんです。僕の会社は首都圏TSUTAYAなので、東京・埼玉・千葉・神奈川・山梨の4エリア250店舗を担当しています。

社長の高校時代は?

仲間と時間を過ごす大切さを
ラグビー部で学んだ

高校時代はラグビー部でした。朝7時から朝練があって、放課後は夜9時くらいまで練習をしていたので、ほぼ毎日ラグビーばっかりやっていて部活一筋。この3年間で学んだ仲間を信じることの大切さは、今の仕事にもすごく繋がっていると思います。仕事だとどうしても成果が出たことばかりを評価しちゃうじゃないですか。でも一緒に過ごすことの意味ってそれだけじゃない。誰かに良いことがあったら一緒に喜んであげたいし、悲しいことがあったら一緒に悲しんであげたい。そういう、仲間でありながら仕事ができることの大切さっていうのは、実は高校時代に感じていたことと繋がっているんじゃないかなと思います。当時は部活以外の自分の時間はほとんどなかったので、大学に入ってからはバックパッカーで世界中の地域を旅しました。

高校時代の自分に
何か言ってあげるなら?

「大切にしなきゃいけないことは
変わらずに持ち続けている」

僕の子どももこの春に高校生になるんですよ。自分が高校生の頃から変わってきたことはたくさんあるし、変わらなきゃいけないこともたくさん経験してきたけれど、仲間と時間を過ごす大切さとか嘘をつかないとか、「ありがとう」と言えるとか、大切にしなきゃいけないことは大人になっても変わってないですね。そう思うと、高校3年間にたくさんのことを学んでいます。高校時代って大切な時間ですね。

インスピレーションは
どこから得てる?

「人」と出会うこと。
そして、その「場」を作ることが
僕らの役割

人と出会うことですね。そういった、人と出会う環境を作ってあげることもとても大事。TSUTAYAでは文庫本とかコミックという棚の分け方をしないで、「生活提案ジャンル」という人のライフスタイルの興味関心が高そうな軸で、ジャンルを決めています。旅行とかファッションとかアートとか車とか料理とか。そういうジャンルに合わせて、本の形にはこだわらず、関連する商品を一ヶ所に集めています。すると、料理なら料理が好きな人が集まるんです。そこで今度は料理に関連する雑貨を販売したり、料理に関連するイベントをして、お客さん同士が繋がっていきます。そこに「場」ができます。それがお店の本質的な役割だと思っています。僕自身もそこから影響を受けています。

高校の図書室をプロデュースするとしたら?

知識を共有する場にするために
人が人を呼ぶ空間をデザイン

もし本当にお手伝いさせていただけるならめっちゃプランニングしますよ! 実際に公共の図書館もいくつか手掛けさせていただいています。居心地の良い空間を作る鍵は、太陽の光、緑…コーヒーの香りもそうだし。あとは人ですよね。“人が風景になる”と僕らは言っているんですが、人が人を呼ぶんです。例えばカフェに高校生の女の子がいたら高校生の男の子も集まりますよね。その演出がとても大事。静かで緊張感のある図書室はひとりで勉強する場としては良いのかもしれないけど、新しい知識やアイデアを共有するために人が集まる場にするなら、もう少し変わって良いのかもしれませんね。

    杉浦社長が心掛けている1つのこと

  1. 顧客の言うことを聞くな、
    顧客のためになることをなせ。

    これはTSUTAYAの親会社カルチュア・コンビニエンス・クラブの行動規範10か条のひとつなのですが、すごく深いと思っています。クライアントからご要望はたくさんいただきますが、その裏側も含めた期待を読み取って、本当にクライアントのためになる企画を提案していくのが仕事だと思っています。

    正解と不正解、どちらか正しい方を選びなさいというのが学生時代は多いけど、社会に出るとどちらも合っていることが多いんです。正しい選択肢がいくつもあってその中のどれを選ぶのがエンドユーザーにとってハッピーなのか、そしてクライアントのビジネスを成功させるためにベストなのか、ぐーっと考えます。

    その際は、自分が組み立てた仮説ストーリーをマーケティングしてデータを揃え、「僕はAにするべきだと思います。なぜならば…」とご提案します。信頼があって仕事を任されたのだから、自分の意見をちゃん伝える。期待された以上の期待に応える。これがやりがいでもあります。

仕事に欠かせないアイテムは?

「映画・音楽・本」

杉浦社長

映画を観る。音楽を聴く。本を読む。企画を作っていくのが仕事なので、これは欠かせません。インプットがないとアウトプットができないんです。
    高校生にオススメの3作品を教えて!

  1. 映画:『いまを生きる』

    僕の人生を大きく変えた映画です。イギリスの全寮制の学校が舞台で、自分自身の人生を生きるためにどうやって自由を勝ち取っていくかのヒントを教えてくれる先生と生徒が向き合っていくお話。高校時代に観て大泣きしました。真面目に学校に行ってる子ほどおすすめします!

    いまを生きる

    『いまを生きる』
    DVD発売中/デジタル配信中
    発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン
    ©2019 Touchstone Pictures.

  2. 音楽:『ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)』クイーン

    これはもちろん、映画を観てブームが来ています(笑)。僕は帰国子女なんですが、’85年に行われたライヴ・エイドは、ちょうど小学生でアメリカにいた頃の話なんです。

    ボヘミアンラプソディー

  3. 本:『FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』日経BP社

    メディアには報道されないことも多くあります。電気を使える人は世界の何パーセントか? 世界の平均寿命は何歳か? この本、読んでびっくりしました。実は、世の中はどんどん良くなっています。思い込みではなくて、正しく数字で把握して理解することがどれだけ大切かを教えてくれます。
    FACTFULNESS

杉浦敬太Keita Sugiura
‘73年、福岡県出身。小学~中学の一時期をアメリカで過ごす。’97年、中央大学 総合政策学部卒業後、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱)に入社。直営店舗事業、FC事業を経て、人事の責任者、70社を超えるグループ会社の人事制度の統合プロジェクトなどに携わった後、’11年に執行役員、’13年に取締役に就任。’15年より㈱TSUTAYA 取締役、㈱首都圏TSUTAYAの代表取締役に’18年より就任。