社長に会いたい|ギンビス宮本周治社長「お菓子の味も、グッズのキャラクターの可愛さも全部チェックしています」

株式会社ギンビス 宮本周治社長

食べて美味しい、キャラクターも可愛い「たべっ子どうぶつ」をはじめ、「アスパラガスビスケット」「しみチョココーン」など数々のヒット商品で愛されるギンビスの3代目、宮本周治社長にお話を伺いました!


まずはどんな会社か教えてください!

会社設立は1930(昭和5)年
親子3世代に愛されるお菓子メーカー

お菓子そのものの味と品質に一番こだわる会社です。たべっ子どうぶつは今年で発売から47年、アスパラガスビスケットは57年です。50年も経つと環境も変わるし、原材料や機械、人も変わってきますが、私たちは“あの時食べたあの味”を大切にして、親子3代で食べていただけるよう、おじいちゃんおばあちゃんが昔食べた美味しさを今も変わらず再現しています。会社なので売り上げや利益、プロモーションなど、経営に関して気にすることはたくさんありますが、私が一番気にしているのは、お客様にきちんと美味しく食べていただけるかということです。知らず知らずのうちに品質が下がってしまっているということは十分あり得ることですから。


中学卒業後、単身渡米。どんな高校時代でしたか?

ニューヨークで過ごした高校生活は
全寮制で軍事訓練の日々

私が通ったのは陸軍の士官学校だったので、全寮制でいろんな国からいろんな人種が集まっていました。朝から緊張の糸がピーンと張っていて、授業と軍事訓練と宿題、運動が朝から晩までビッチリ組んであったので1日1日を乗り越えていくのが本当に大変。毎日が全力でした(笑)。ただ明るく元気な性格で好奇心があったので、何にでも挑戦していました。周りには卒業後、戦争に行った友だちもたくさんいて、日本は平和でよかったなと思うとともに、平和を維持の努力をすることが大切だなと思うようにもなりました。小中学校の頃にはすでに170cmほどあり、騎馬戦の大将や応援団長、バレー部のキャプテンや文化祭の実行委員長などもしていました。


創業者や先代社長から聞いた苦労話はありますか?

祖父である創業者は職人気質
お菓子の型もすべて自分でデザイン

一番大変だったのは、おそらく東京大空襲(1945年)の時だったと思います。創業者の宮本芳郎さんはちょうど千葉に疎開していたらしいのですが、その日東京の空を見ると真っ赤になっていたので驚いて翌朝戻ると、東京全体が焼け野原で、工場も全部焼失していたそうです。芳郎さんは私の父である前社長の隆司さんを連れて、スコップひとつ背負って、千葉から線路沿いに東京に向かったそうです。ゼロからまた工場を立ち上げたのは本当に大変だったと思います。創業者はとても職人気質で、味と品質はもちろん、デザインやネーミングにもこだわっていました。銀座ビスケットから社名をギンビスとしたり、アスパラガスビスケットやたべっ子どうぶつのネーミングも創業者が考えていますし、たべっ子どうぶつのロゴは創業者自らが描いた字体です。動物の型など何百種以上のお菓子の型も自分で絵を描いて職人さんに頼んで作ってもらっていました。僕も小さい頃はどんなお菓子がいいかとよく聞かれましたし、父が社長になってからも工場で作った試作品を小学校の頃に家で試食したりしました。


商品の品質を保つためのこだわりは?

自分の中の合格ラインに届くまでは
試食を繰り返し、改良を続ける

今朝も新作の試食をしました。実はこの後もまたあるのですが、試食してそれを改良してより美味しくしていただくことは、私の大切な仕事のひとつだと思っています。自分の中でこの味でこの品質、食感、パッケージでこの値段であれば売れる、というのがあるので、そのラインまで引き上げることにはこだわっています。中には2年、3年、それ以上の期間をかけることもありますが、みんなの期待を裏切るような商品は出さないようにしています。日頃から工場で作ったお菓子は本社に送ってもらって毎日必ずチェックしていますし、ちょっとおかしいなと思えばすぐに工場に確認します。コンビニに行ったらギンビスのお菓子を買って味を確かめるということも若い頃からライフワークですし、私の場合は自社商品だけでなく、他社の新商品やロングセラー商品も食べていますから、同年代の中であれば、一番お菓子を食べているんじゃないかと思います(笑)。好きなことが仕事になっているのはすごく幸せなことだと思います。


社長が一番好きなギンビス商品は?

どの商品も全部好き
たべっ子どうぶつは毎日食べている

どの商品もすべて好きですが、やっぱりたべっ子どうぶつは種類が多いですし、よく食べています。コンビニでも毎月新製品が出てきますからね。毎週月曜日の午前中はコンビニ会議をするのですが、そこでも新製品を毎回チェックしています。


どんな時にお仕事のやりがいを感じますか?

“美味しさ”と“可愛さ”を全力で守る!
お客さまが喜ぶ姿が、何より嬉しい

私は毎日市場調査をするんです。その時にお客さまがうちの商品を手に取ってくれているのを見ると、やっぱり嬉しいですね。たべっ子どうぶつLANDなどのイベントも一から全部企画に関わっているので、始まってお客さまが喜んでくださっていたりグッズをつけてくれているのを見ると自分も嬉しくなります。私はお菓子も全部チェックしますが、グッズも全部チェックしています(笑)。細かいことなのですが、先ほども「ぬいぐるみの顔の膨らみが足りないので直してください」とお願いしたところです。これまでにも3000以上のグッズを出していて、それぞれいろんな会社が作ってくださっているので、きちんと目を通しておかないとグッズに統一感がなくなってしまうんです。だからどんなグッズであっても、ちゃんとキャラクターが可愛いか、そして色が統一されているかはお菓子同様にこだわっています。

ブランド作りに大切なことは何だと思われますか?

私はよく「ファン作り」と言っているのですが、ひとりでも多くのファンを作ってより愛される会社になれるように頑張っています。ギンビスのお菓子には、裏面に「こんなお菓子があったらいいなという夢があればアイデアをお寄せください」と書いているんです。ここに届いた意見は全部見ていますし、アレルギーのお子さまを持つお客さまからいただいたご意見を参考に、ギンビスのお菓子は卵アレルギーの方に配慮してすべて卵不使用にしています。


▼仕事をする上で心掛けている3つのこと

  1. お客さまに喜ばれていること

    ギンビスの理念は「お菓子に夢を!」「お菓子を通して世界平和に貢献する」です。皆さんがお菓子を食べて幸せになり、イベントや映画などを通じて元気になり、お菓子の持つ力で、楽しくワクワクしていただけるようにいつも考えています。お客さまが喜んでくだされば、経営もうまくいくと思っています。

  2. 伝統を守りながらも、革新を大切に

    ギンビスは今年創業95年を迎えました。伝統と歴史を守りながら、私も社員も、常に新しいことに取り組んで新しい成果を出すことを意識しています。新しいことを考えていかないとどうしても飽きて停滞してしまいますからね。

  3. 感謝の心を忘れない

    もうひとつ、仕事で重要なことは、信頼関係です。仲の良い友だちでも何かした時には「ありがとう」と言葉にして伝えてもらえると嬉しいですよね。仕事の人間関係でもいつも感謝の心を持って、なるべくその気持ちを表すようにしています。

 

宮本社長の朝ごはん&モーニングルーティン

宮本社長

朝ごはんにはお味噌汁に納豆、梅干し、時々焼き鮭、そしてバナナを食べています。夜は会食などもあるので、家ではなるべくシンプルなものを食べて、お水をよく飲んでいます。そして毎朝近くの公園でストレッチと拳立てを50回×4セットで200回ずつ続けています。



高校生へメッセージ

まずは、明るく元気でいることが大切だと思います。そして仲のいい友だちと一緒に遊んだり勉強したりスポーツをしたりすることも人生を明るくしてくれます。何かひとつ継続できることがあれば、そこから学ぶことはたくさんあると思います。スポーツでも音楽でも文化的なことでもなんでもいいです。そして心配事もいろいろあるかと思いますが、まずはやってみること。いつも心に太陽を持って、前向きに取り組めば何でも良い結果がついてくると思います。声に出すと自分の周りに協力者や情報が集まります。私は「映画にしたい」ということを言い続けていたら、実現して、5年以上かけて『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』が完成しました。人生は自分が思わないことは実現しないと思っています。願いはかなうと信じ、言葉にしていくことが大切です。



取材を終えて

しらべ(高3)
宮本社長の自社商品への愛がひしひしと伝わってきて、その愛が私たちにも伝染して、たべっ子どうぶつのキャラクター愛が何百倍にもなりました! 「お菓子が持つ力で人を幸せにしたい」という夢を、社長は体現されているのが本当にすごいし、カッコいいし、感動しました!

かのん(高3)
放課後に友だちとたべっ子どうぶつをつまみながらおしゃべりする時間ってすごく楽しくて、それって社長がおっしゃる「ギンビスのお菓子を通じて、家族や友人との思い出を作ってほしい」という言葉どおりだなと気がつきました。個人的にはらいおんくんと一緒に写真を撮られている宮本社長の笑顔が一番好きでした!

えみり(高3)
お部屋に入られた瞬間から社長の明るい雰囲気で自然と笑顔になりました。「職人気質」とおっしゃっていた創業者同様、やっぱり周治社長もものすごいこだわりでお菓子のチェックをされていて、親子三世代に愛される商品づくりの徹底した姿勢に驚かされました!

れいな(高3)
私は家業がある人に憧れていて、歴史ある家業を継ぐ人ってどんな気持ちなんだろう、プレッシャーとかあるのかなと思っていましたが、プレッシャーを感じるより「好きなことを仕事にできて幸せ」と迷いなくおっしゃっている姿が印象的で、本当に素敵だし天職なんだなと思いました。

まひる(高3)
宮本社長が最後におっしゃっていた「したいことは口に出した方がいい」という言葉を聞いて、自分も「バックダンサーをしたい」と言った数ヶ月後に小さいながらも舞台に立っていた経験を思い出しました。私も口に出して同じエネルギーの人を周りに集めていきたいです。ギンビス社の新商品、どれも本当に美味しいです…!

ゆま(高2)
私は推しのTravis Japanがきっかけで『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』を観に行っていたので、宮本社長の“キャラクターがちゃんと可愛く見えること”へのこだわりやキャラクターへの愛、映画完成に5年以上かかったことなど、お話の一つひとつがとても身近に感じました。

宮本周治Shuji Miyamoto
1973年、東京都生まれ。中学卒業後、渡米してニューヨーク・ミリタリー・アカデミーに入学。卒業後、フランクリン・ピアス大学へ進学。3年時にサフォーク大学に編入。1997年、香港・四州集団有限公司入社。1999年、ギンビス入社。2014年、同社社長に就任。ここ数年、「たべっ子どうぶつ」は、チョコをしみ込ませたビスケット商品、グミやラムネ商品、グッズやコラボ展開、POP UP SHOP、『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』の公開(2025年5月)で10代人気が再燃している。

<たべっ子どうぶつLAND>
神奈川・ASOBUILD YOKOHAMA COAST
2025/9/28(日)まで開催中
https://tabekkoland.jp/#factory