go!go!vanillasボーカル・牧達弥が語るロックバンドのあり方と高校生へのメッセージ

ニューアルバム「THE WORLD」を5月15日にリリースし、10月からは全国ツアーもスタートしたgo!go!vanillas。ボーカルの牧達弥さんに、本作に込められた想いや、ロックに対する熱い想いを語っていただきました。

みんなの世界にも、僕たちの曲が入り込んで欲しい

まずはアルバムタイトルに込められた想いを教えてください。

 「THE WORLD」、つまり世界ですが、それは大きなものではなくて“一人の世界”を表しています。ネットやSNSが発達し、“一人の世界”がだんだん大きくなってきたように僕は感じています。それは良いことでもありますが、人と接しないと経験できないこともたくさんありますよね。バンドも4人で協力したり、ぶつかり合うことで成長しています。もしかしたら一人の方が効率はいいかもしれない。ならば4人でいる意味はなんだろうと考えながら、本作に収録されている曲の歌詞を書きました。みんなの世界にも、僕たちの曲が入り込んで欲しいなという意味を込めてつけたタイトルです。

先日のツアーで「THE WORLD」 の収録曲を聴かせていただきました。長谷川プリティ敬祐さんがいない3人でのライブでしたが、どのような気持ちで演奏されていたのですか。

 プリティは今、療養中ですが、ツアーではサポートの人に弾いてもらうのはなんだかしっくりこないなと。そこで、レコーディングしてあったプリティの音を流し、それに合わせて僕らが演奏するという形をとりました。ライブで新曲を演奏するのはワクワクして楽しいです。お客さんもそう感じてくれているんじゃないかな?もちろんプリティを含めた4人で演奏できるのがベストですが、3人でのライブもそのときでしかできない演奏ができたのでよかったと思います。

このアルバムのレコーディング後、プリティさんの事故があったのですよね。その時はそのような心境だったのでしょうか。

 今、ヒップホップやR&Bが流行していて、街中でもよく流れています。それは生活の中で感じる怒りを代弁するカウンターカルチャーだからだと思います。以前はロックがカウンターカルチャーでしたが、今は大衆に受け入れられ、ポップスになってしまっている。音楽を続けていくうちに、曲作りに関してもライブに関しても“当たり前”になっている部分がたくさんあったんです。でも、僕たちが魅力を感じていたロックはそうじゃないという想いがあって、「No.999」などの曲を作り始めていました。そこにプリティの事故があり、ここで反骨精神がないとロックバンドとして崩れてしまうと思いました。とてもショックな出来事でしたが、今まで悩んで考えて進んで来た道が、僕たちを立ち上がらせてくれました。

「パラノーマルワンダーワールド」の歌詞は何度聴いても胸に刺さります。ミュージックビデオの最後の言葉も含めて、この曲に込められた想いを教えてください。

 今回のアルバムでは身近にある疑問を題材にしている曲が多いです。動物と人間は、同じようにご飯を食べて寝てという同じ行動をしていますが、その中で人間を人間たらしめるものはなんだろうと考えたとき、僕は恋”と“愛”と“狂気”、そして“夢”だと思ったんです。この並びで“狂気”というとなぜ!?と驚かれるかもしれませんね。普通でいるということはもちろんいいことだし幸せなことです。でも、何か苦悩を感じる時に生まれるパワーは強い。僕がみてきたロックスター達も社会に溶け込めないことによって感じることを作品に昇華しているんです。世の中は綺麗なものだけじゃないですが、その綺麗じゃないものにも輝きがある。そこが人間の魅力だと、僕は思っています。この曲はそういう想いを込めた曲です。ミュージックビデオの最後の言葉にはあまり新しいとか古いとか考えずにいた方が、フラットに新しいものが吸収できるという意味を込めました。古いものでも、視点を変えれば新しいものになり得ますからね。

ファンのみなさんとは兄弟のような感覚でいたい

朝起きたとき、夜寝る前にオススメのバニラズの曲を教えてください。

牧 僕たちの曲は朝っぽいイメージのものが多いですよね。「エマ」のミュージックビデオも朝のシーンから始まっていたり。夜っぽい曲は「ナイトピクニック」などがありますね。今回のアルバムの中なら朝に聴くのは「スタンドバイミー」がオススメです。「雑食」は夜に聴きながら散歩すると気持ちいいよ!(柳沢)進太郎が、「聴いているときに強くなった気分になれる曲はいい曲だ」とよく言っているのですが、これはそういう曲です。

5月から新元号がスタートしましたが、ロックのここは変わらない、ここが進化していると思う部分はどこですか?

牧 常に進化はしていると思います。僕が好きな50年代60年代はロックの創世記で、当時の人たちは、これが完成系だとは思っていなかったはずなんです。HR/HMやパンクなどが枝分かれして生まれているということは、ロックが進化しているということですよね。僕はロックは精神的な部分が大きくて、形式的なものでくくるとすごくつまらなくなってしまうと思っていています。怒りを代弁するという気持ちを持ち続けて、音楽に落とし込んでいくということがロックにとって一番大切。「サイシンサイコウ」は4ビートに乗せて作っていたんですが、そのままではいかにもなロカビリーになってしまって。形式で言えばロックですが、そのままでは精神的にロックじゃないなと、あえてハーフビートに切り替えました。そのおかげで、ギターのフレーズはロックのマナー則りつつも新しい感じになったと思います。

牧さんにとってファンとはどういう存在ですか?

牧 ライブでもよく言っていますが、音楽で繋がっているだけなのに、友達以上に熱狂してくれるのはすごく嬉しいし、魔法がかかっているかのように感じています。僕は音楽が好きで、毎回ライブをするときは、自分のオススメの曲を聴いて!という感覚で共有しているつもりです。僕のオススメする曲を好きだと言ってくれるみんながいるから、また新曲を聴いて欲しくなります。ずっと兄弟のような感覚でいたいなと思っています。

最後に高校生へのメッセージをお願いします。

牧 僕は高校生のとき、好きなバンドの新譜が出るとすごく影響を受けていました。本作は聴いてくれたみなさんが影響を受けて良い大人になってもらえるアルバムになっていると思います(笑)。高校生のときの僕はアーティストの想いなどは気にしていなかったですが、今回のアルバムは歌詞において自分が今言いたいことを裸の言葉でリスナーに投げかけているので、それを受け取ってください。

読者プレゼント

go!go!vanillas

牧 達弥(vo/g)、長谷川プリティ敬祐(ba)、ジェットセイヤ(dr)、柳沢 進太郎(g)の4人からなる新世代ロックンロール・バンド。
さまざまなジャンルを呑み込んだオリジナリティ豊かな楽曲で聴く人を魅了し、ライヴでは強烈なグルーヴを生み出す。
音楽ルーツへのリスペクトにとどまらず、常に変化・革新をし続けている。

DISC INFO

「THE WORLD」
完全限定生産盤(CD+DVD) ¥3,700+税
通常盤(CD) ¥2,800+税
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06.06(木) 静岡 浜松 窓枠
06.08(土) 三重 M’AXA
06.09(日) 岐阜 CLUB-G
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